2勝目はそこから3戦後となる、4歳1月の中京。初めての左回りがマッ戦に間に合わせることが、ゴールではない。勝負の世界は結果が重要。3歳未勝利戦のリミットは9月頭。それまでに、少なくとも1勝は挙げなければならなかった。幸い、初戦を使った後も大きな反動を見せることはなかった。2戦目以降は勝ち切れないながらも2、2、3着と安定した走りを披露。中には1着馬メイショウカズサ、2着馬ヴェルテックスと、のちに重賞を勝つことになる馬のワンツーに屈したレースもあった。無論、ヴェラアズールがずば抜けることになるのだが、今思うと豪華メンバーだった。そして5戦目。D・レーン騎手を背に、道中は馬群でピタリと我慢。直線に向いて外めに持ち出すと、鞍上の右ムチに応えるかのように加速していく。残り200m地点で先頭に躍り出てからも、名手の叱咤は続く。内、外からライバルたちが猛追してくるが、負けじと踏ん張りを見せ、歓喜のVゴールを駆け抜けた。チしたか、はたまた初ブリンカーが効いたか、後続に3馬身半差をつける快勝劇を演じた。その勝ちっぷりから、陣営は秋のJBCクラシックを意識したほど。しかし、それが4歳時の最初で最後の勝利となった。トンネルから抜け出せないまま、迎えた5歳。そこで転機は訪れた。初めての芝挑戦だ。 「もともと芝を使いたいなと思っていましたし、実際にそういう話もありました。ただ、ダートで結果が出ていましたし、なかなか踏み切れないところがありましたね。使うならまずは、少頭数になりがちな2600m戦から行ってみようかなと考えました」と、トレーナーは述懐する。照準を合わせたのは、3月に阪神で行われる淡路特別。指揮官のもくろみ通り、9頭立てで行われたが、狙った条件とはいえ、自信満々というわけではなかったようだ。 「前に東京のダート2100mを使った時に折り合いを欠くところがあったので、長い芝という部分では半信半疑なところがありました」不安半分、期待半分で挑んだ芝初戦。好スタートからホームストレッチでは先団に位置したが、初タッグの岩田望来騎手は手綱をガッチリ抑え込む。後方2、3番手から進め、勝負どころで徐々に内めから進出開始。直線も内を選ぶと、狭いところを果敢に割って先頭へ。ゴール前ではプレイリードリームと2頭での壮絶なたたき合いを制し、芝替わりで結果を残してみせた。新境地を切り開いた、1年2カ月ぶりの美酒。しかし、手放しで喜べる勝2721/1/10 混)4歳上1勝クラス 中京 ダート1900m22/3/19 混)ハ)淡路特別 阪神 芝2600m22/6/11 混)ハ)ジューンS 東京 芝2400m22/10/10 国)京都大賞典-G2 阪神 芝2400m
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