ている。となっている『ホースマンカレンダー』が2026年度版からリニューアルされた(写真⑨)。制作担当者の澤田真結さんは「とにかく写真が素晴らしいです。近年、防疫体制が厳しくなる中、牧場と信頼関係を築いてきたトップカメラマンだからこそ撮れた、貴重な写真が満載です。特に新商品の『キュートフェイスコレクション』は、仔馬の可愛い顔だけを集めました。多くの方に手にしていただけると嬉しいです」と話していた。血統を後世に伝えていくためにレッド血統センター。今後の課題と展望を、松井陽明社長に伺った。「競馬は血統がベースになっています。その中で我々が持っている血統のデータは白井透さんや松井淳二、弊社の社員たちが必死に守ってきたもの。そして、そのデータはさらに派生していきますから、これからも守っていくことが大事な役割だと考えています。今後、特に力を入れていきたいのが、AIを活用したブラックタイプ制作です。開発には莫大な費用がかかりますが、チャレンジしてみたい。AIで作れるようになれば、作業する人間は不要になるという考えがあるかもしれません。しかし、我々がこだわる部分は、最終的にはAIにはできないところです。つまり、その馬の血統的魅力をより際立たせるための最後の調整は、人間による勝負になると思うんです。我々が今、シェアをいただいている理由はまさに、この部分。これからも、また、1976年からロングセラー今年、創立58年目を迎えたサラブハンドメイドでしかできない繊細さ、温かさを大切にしていきたいですね」現在、『週刊競馬ブック』で記事を書かせていただいている筆者も、サラブレッド血統センターがここまで日本競馬の血統を守ってきてくれていたとは知らなかった。白井透氏が起業していなければ、また株式会社ケイバブックのグループに入っていなかったら、日本競馬における血統のデータベースはどうなっていたのだろう。今後、ブラックタイプを読む際は、その行間に込められた思いに、気持ちをはせてみたい。参考資料:江面弘也著『活字競馬に挑んだ二人の男』(ミデアム出版社)(小島友実)11 サラブレッド血統センター 沿革写真⑨ロングセラー商品『ホースマンカレンダー』(右)と新商品『キュートフェイスコレクション』(左)白井透氏と米3冠馬セクレタリアトの主戦騎手ロン・ターコット氏写真⑧『週刊競馬ブック』。週末の重賞レース情報のほか、インタビュー記事も充実している1968年 白井透氏が出版団体「サラブレッド血統センター」を創業1969年 『日本の種牡馬録』を創刊(以降、第8巻まで刊行)1970年 「有限会社サラブレッド血統センター」として法人化1971年 『サラブレッド血統大系』を創刊(以降、第5巻まで刊行)1972年 『競馬四季報』を創刊(JRA関東所属馬全頭と関西オープン馬を掲載)1973年 『スタリオンレヴュー』を創刊1975年 「ブラックタイプ」の制作事業を開始1976年 『ホースマンカレンダー』、制作・販売開始1980年 『競馬四季報・関西版』を創刊(JRA関西所属馬全頭と関東オープン馬を掲載)1990年 『ファミリーテーブル』第3巻(英語版)を刊行。本書にて社長(当時)の白井透氏がJRA賞馬事文化賞を受賞1995年 株式会社ケイバブックのグループ会社となる 『週刊競馬ブック』の編集業務を受託1998年 社団法人(当時・現一般社団法人)日本競走馬協会が第1回セレクトセールを開催。初年度よりブラックタイプ制作を含めた上場馬名簿(日本語版・英語版)の制作業務を受託2002年 『競馬四季報・関東』と『競馬四季報・関西』を統合し『競馬四季報』として全国統一版化2003年 JRA創立50周年記念出版『競走馬ファミリーテーブル第4巻』(発行:日本中央競馬会/日本軽種馬協会)の編集・販売業務を受託2022年 『競馬四季報』、通巻200号 『スタリオンレヴュー』、通巻50号
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