格し、当時グレードがついていた多くのレースがグレード表記できなくなり、代わりに『Jpn』という表記が生まれました。それ以降、弊社では国際基準への準拠がパートⅠ国の責務とし、G表記のルールを厳格化していく方針に改め、国際格付けを持つ競走だけにGⅠ、GⅡ、GⅢを付与し、それ以外の競走を全て大文字でJPNⅠ、JPNⅡ、JPNⅢとすることにしました。Jpn表記は日本独自のもの。例えば日本語版のセレクトセール名簿では、JPNⅠ表記されているものの、国際的にはブラックタイプ・レースではない今年の羽田盃や東京ダービーを勝った馬は、英語版では太文字にはなっていません。国際ルールのブラックタイプを守っていくのは弊社しかないと思っていますから、ここはこだわっています」こうした姿勢が信頼を呼び、現在、馬カタログに、ブラックタイプを提供している。伊藤さんは、こう続ける。「カタログには限られた行数に募集馬のブラックタイプを掲載しなければならないので、祖先馬の中からどの馬を選び、どの馬を載せないかという選定が必要です。その際、キャロットクラブさんの場合、クラブの所属馬として活躍した馬を優先して掲載することもあり、また今は目立っていなくても今後、活躍が期待できそうな馬は載せるようにしています。作業には血統のほか、競馬の知識がかなり必要になるので、国内はもちろん、海外の競馬もしっかりチェックしています」クラブによって、そんな工夫があったのかと知り、驚いた。カタログを見のブラックタイプが考案された経緯を、□氏に聞いた。「白井透さんがアメリカで入手した9 セリ名簿は、主要レースの優勝馬がわかりやすく太字で記されていました。一方、当時の日本のセリ名簿は簡素なものしかありませんでした。そんな中、社台ファームの吉田善哉さんから頼まれて、アメリカのブラックタイプを模倣して繁殖牝馬名簿を作ったんです。これが、わかりやすいと評判を呼びました。そこで日高のセリを運営する日高軽種馬農業協同組合にアプローチし、セリ名簿を作り始めたのです」た。「当初、国内の繁殖成績や競走成績は手作業で収集し、海外データは『ジェネラル・スタッド・ブック』を第1巻(写真④)から取り揃え、各国のセリ名簿や競馬雑誌、種牡馬録を取り寄せて調査していました。以降、1994年に日本軽種馬協会が運営するJBISによる制作へ移行するまでの北海道市場など、国内のほぼ全市場に携わらせていただき、中でもジェイエス繁殖馬セールと、日本競走馬協会のセレクトセールは第1回から現在に至るまで、委託いただいています」わっている点を編集部・チーフマネージャーの伊藤創之助さんに聞いた。「重賞競走の位置づけを明確にするため、JRAは1984年、欧米に倣ってグレード制を導入。『格』を表わす記号として『GRADE』の頭文字である『G』を使用し、GⅠ、GⅡ、GⅢの3グループに分類されています。しかし日本が2007年にパートⅠに昇この作業においても苦労が多かっブラックタイプ制作にあたり、こだる際は、細かい点まで注目してみたい。馬事文化賞を受賞1990年には『ファミリーテーブル』第3巻(英語版)を刊行し、白井透氏はJRA賞馬事文化賞を受賞した。元々、『ファミリーテーブル』は1953年にポーランド人のカジュミエル・ボビンスキーによって、イギリスで刊行されたもの。その第3巻が、なぜ日本で出版されたのだろう。□氏に聞いた。「『ファミリーテーブル』は人間で言う家系図のような形式で競走馬のファミリーを系統化し、索引を引けば該当する馬からその系統全体の流れを見渡せる仕様になっています。1960年までは補充版が出ていましたが、制作には大変な労力が要るため、第2巻以写真⑥『ファミリーテーブル』第3巻とJRA賞馬事文化賞トロフィー写真⑦作業のために記されたラインマーカー。1933年の英ダービー馬「HYPERION」の名前が見える写真⑤イギリスで発刊された『ファミリーテーブル』第1巻の原書24ある愛馬会法人のうち18社もの募集
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