ECLIPSE_202507_12-15
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ゆかりの血統で〝春の盾〟を手にした喜びは格別だ。ヘデントールが天皇賞・春を勝ち、G1ウイナーの仲間入りを果たした。木村哲也調教師は「ひとつひとつ階段を上がっていき、こうしてG1の舞台で結果を出せたことは感慨深いですね。デビュー前から、自分の中では走る手応えがありましたし、淡々と日々の仕事に取り組んできました。おかげさまで、厩舎としてはG1を何個か勝たせていただいていますが、また違った種類の喜びです」と、晴れやかな表情で語る。祖母のエンシェントヒル、母のコルコバードもクラブの募集馬(卒業生)であり、文字どおりに『OurBlood』の牝系だ。そのコルコバードも、現役時代は木村厩舎に所属。5歳の秋にはG1(エリザベス女王杯8着)の舞台にも立ち、通算16戦5勝の成績で引退した。「あの馬がデビューしたのは、開業5年目の頃。スタッフも含め、当時の自分たちでは精いっぱいのことをやらせてもらいました。3歳の年明けにはフェアリーSを抽選で除外になったり、なかなか思うようにいかないこともありましたけどね。もっと他に何かしてあげられることがあったんじゃないかと、今でも思っています」繁殖入りしてからはモーリス産駒の初仔(パンデアスカル)を産み、父ルーラーシップとの間に2番仔として産まれたのが、ヘデントールだ。「初めて馬を見させてもらったのは、1歳の夏。預託が正式に決まり、北海道(ノーザンファーム)に足を運びました。絶対に〝いい馬〟だと思ったのが、第一印象。立ち姿を見て、皮膚感や体全体のバランスなどに、ルーラーシップ産駒の良さを感じました。もしかしたら、男馬のエース格になるんじゃないかと思えたぐらいです」翌年の春(4月28日)、美浦に初入厩。約2週間で、ゲート試験をクリアした。その後はノーザンファーム天栄でトレーニングを積み、夏場のデビューを目標に再入厩。ところが、調教を進めていく段階で左前脚の球節が腫れたたJuly 2025 vol.28212木村哲也調教師        Tex t: 和田 稔夫─ ヘデントール 天皇賞(春) 優勝 ─「血をつなぐ使命を胸に…」G1制覇を振り返る

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