日本代表が着用する赤いジャケットを身につけたメダリストが登場すると、会場は一気に沸いた。2021年に、この場所で無観客開催された東京2020オリンピックにも出場した2人が、多くの観客の前で勇姿を披露した。メダリストと引退競走馬のコンビが見られるのも、RRCの魅力だ。この種目には、元キャロットクラブ所属馬であるハミングバードも出場している。2022年3月27日、中山競馬場でデビュー。レース後に骨折が判明、僅か1戦で競走馬としての活動に終止符を打ったが、今年競走馬時代と同じハミングバードの名で予選を通過し、ファイナル大会に駒を進めてきた。騎乗する平永健太(乗馬クラブクレイン千葉富津)は、2023年に中国・杭州で行われたアジア競技大会・総合馬術日本代表で、団体銀メダルを獲得したライダーである。平永を乗せて2日目のクロスカントリー競技を終えた時点の、2種目合計減点は30・7で6位につけていた。最終種目の障害馬術が始まると、1つずつ障害を飛越していくが、1つの障害物を落下してしまい減点4となり、3種目総減点34・7の8位でフィニッシュ。ゴール後は3日間の走行に対しての惜しみない拍手が、会場から湧き上がる。平永がハミングバードと出会ったのは、約2年前。競走馬時代は1戦0勝のハミングバードだが、「とても真面目な性格で、人が大好きなんです」と言(障害馬術)、リグージェ(障害馬術&馬場馬術)、フルヴォート(馬場馬術)、レイエンダ(馬場馬術)、グローブシアター(障害馬術)、エイムアンドエンド(馬場馬術)、ハミングバード(総合馬術)の8頭がエントリーした。その中で予選競技会で上位入賞を果たし、ファイナルへ駒を進めたのはグローブシアター(東京大会2位)、エイムアンドエンド(神奈川大会1位)、ハミングバード(山梨大会6位)の3頭となり、キャロットクラブ元所属馬たちが3種目全てでファイナル出場を果たした。グローブシアターは昨年のRRCFINA L 2023に続いて、2年連続の出場となる。た。この日の1種目目は総合馬術(障害馬術)だ。昨夏のパリオリンピックで、総合馬術団体「初老ジャパン」が大きな話題になった競技。3つの種目(馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術)を同じ人馬で3日間かけて行われることから「馬のトライアスロン」に例えられることがある。本大会では、初老ジャパンのメンバーである北島隆三がウエストンバードと、田中利幸がヴィクトリーとコンビを組んで出場。2人は総合馬術の本場であるイギリスに拠点を置くため、日本国内の競技に出場することは少なく、競技する姿を見ることができるのは貴重な機会だ。大会最終日は、朝から晴天に恵まれう。一度、蹄が悪くなってしまい1年ほど休養していたが、体調も良くなり、満を持してRRCにチャレンジしたそうだ。総合馬術は今年からチャレンジしている種目で、RRCファイナルは1年間の集大成を表現する大会だった。普段は平永だけでなく、クラブのスタッフ全体で馬を支え、ハミングバードは乗用馬として来場者に馬の素晴らしさを伝えてくれていると言う。最終日2つ目の競技は馬場馬術だ。「馬のフィギュアスケート」と称される馬場馬術は、20m□60mの長方形の競技アリーナ内で行う、演技の正確さや美しさを競う競技。速く走ることを11平永健太選手とグルーム芝橋リサさん。馬術では馬のケア全般を行うグルームの存在がとても大きい総合馬術3日目に行われる障害競技で走行中のハミングバード(17人馬中8位)北島隆三選手とウエストンバート。初老ジャパンの2人は日本代表を象徴する赤いジャケット姿で参戦 92年ぶりのメダルを獲得したことで、
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