2024年11月29日から12月1日に東京・世田谷にあるJRA馬事公苑において、「RRC(引退競走馬杯)FINAL2024」が開催された。RRCとは「RetiredCup」の略で、全国乗馬倶楽部振興協会が主催する引退競走馬のみが出場できる馬術大会で、オリンピックと同様に馬場馬術、総合馬術、障害馬術の3種目が行われる。引退競走馬はこれまでにも大学馬術部や乗馬クラブなどで乗用馬としてキャリアチェンジするケースがあるが、関係者以外への周知は少なく、競馬ファンの間でも応援していた馬の引退後の姿を見る機会がなく発信される情報もほとんどなかった。そのような状況を打開するべく、2018年にRRCがスタート。積極的な広報活動が実り、競走馬時代に見ていた「あの馬」の勇姿を再び目にする機会があることが知られるようになった。引退競走馬達に再び光を当てるために競馬、馬術関係者がタッグを組んで年々大会規模が大きくなり、出場人馬が増えている。RRCファイナルは、全国で開催された予選競技会で好成績を収めた馬たちがその年のチャンピオンを決める決勝ラウンドで、馬術の聖地であるJRA馬事公苑に集結する。同所はご存知の方も多いと思うが、1964年の東京オリンピック、そして2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピックで馬術競技会場となった場所である。Racehorse RRCはその出場要件が下記の通り、明確に規定されている。「公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルに血統登録(内国産、外国産を問わず)され、日本中央競馬会、地方競馬全国協会の競走馬として最終レースを令和3(2021)年1月1日以降の出走歴を持つ3歳以上の馬とする。ただし「出走取消(競走除外)」は出走歴には含まない。また、未出走馬は年齢が3歳以上7歳以下とし、年齢は馬年齢(1月1日)を適応する。競走馬として出走を終えた若いサラブレッドが出場するので、馬のウェルフェア(FEI馬のスポーツ憲章)に十分配慮すること。特に、最終出走からエントリーまでは、馬体のケアやリトレーニングのために適正な期間を設ける等の配慮をすること。各大会とも1種目に1頭の馬が複数回出場することはできない。また、一般観戦者等に競技について理解しやすくするためオープン参加(表彰対象外の出場)は認めない。」(※2024年版)上記の条件を満たした引退競走馬は、RRCへの出場を目指してリトレーニングに励みながら、全国の予選競技会へエントリーしていく。2024年は障害馬術が14回、馬場馬術は8回、総合馬術は4回の予選競技会が開催され、元キャロットクラブ所属馬からはオーソクレース(障害馬術)、ジェシーJanuary 2025 vol.27610Text: 中西 祐介元競走馬に再び光を─RRC 引退競走馬杯 FINAL 2024─
元のページ ../index.html#1