ECLIPSE_202411_12-15
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クシデントが起こった際には、パニックになって、牧柵に衝突する馬もいたりする。 「その時、群れの中でリードホースが落ち着いていてくれると、子供たちはリードホースを頼るかのようにその周りに集まっていきます。また、リードホースは集団を動かす役割もあり、集牧の際にもリードホースを先に呼び寄せれば、放牧地にいる子供たちも一斉についてきてくれます」(藤島育成主任)広大なイヤリングの放牧地で集牧をしようにも、中にはまだ遊びたいとばかりに、遠くで走り回っている馬もいるに違いない。その時にリードホースが、「そろそろ帰る時間ですよ」と子供たちに声をかけている姿を想像したら、どこか微笑ましくなってきた。         てきて、まずは先輩のリードホースと主任の主な仕事としては、各イヤリング厩舎へ相性の良さそうなリードホースを派遣すること、そして繁殖厩舎からの新しいリードホース候補馬をスカウトすることだという。 「高齢となった繁殖牝馬の中でも、功労馬として牧場に残したい馬を連れ一緒に放牧を行います。その時の行動を見て、この仕事が向いている馬かどうかの判断をします」(藤島育成主任)ス向きの馬としては以下のような特徴があるという。には特別な訓練は行っていないものの、馬自身が先輩リードホースの行動などから、その仕事ぶりを学んでいるのではと、藤島育成主任は分析する。 「リードホースも年齢を重ねていくと、どうしても運動量が落ちてしまうのですが、そういう時にはあえてリードホースが放牧地にいない日を作って、子供たちだけで走り回らせるようにもしています。ただ、子供たちと距離を置くと寂しがるのか、いななくリード・ 子供たちが近づいてきた際に統率す・ むやみに走り回ったり、子供たちに・ 子供たちだけでなく、人とも円滑なリードホースの管理を担う藤島育成藤島育成主任から見た、リードホーるだけでなく、一緒に行動もしてくれる。敵意を向けたりしない。コミュニケーションが取れる。また、リードホースを作っていく際ホースもいます」(藤島育成主任)リードホースとして普段は子供たちの面倒を見ている立場とは言えども、やはり、一緒にいる間に愛情が芽生えているのだろう。イヤリング期の仔馬がいない期間、リードホースたちはイヤリングエリアのシェルターがある放牧地で過ごしている。イヤリング厩舎でも屋外にいる時間が多いものの、空いている馬房がある時には、その中で休むこともあるという。 「牡馬の放牧地に牝馬のリードホースを置いたままにしておくと、次第にちょっかいを出し始めるので、1歳のす。もしくは、牡馬厩舎には■馬のリードホースを置くケースもあります」(藤島育成主任)現在、ノーザンファームの48頭のリードホースのうち、■馬は3頭。重賞で3勝をあげたフサイチホウオーとインティライミ、皐月賞2着など重賞戦線で活躍を見せたキャロットクラブ所属馬トライアンフマーチだ。 「牝馬のリードホースと比較すると、■馬のリードホースは気持ちも強いせいか、うるさかった子供たちが大人しくなる傾向が見られます。ただ、気持ちの強さも競走馬としては必要ですので、どの放牧地に、どのリードホースを配置するかなどは、普段から馬たちを見ている厩舎長ともよく話し合って決めています」(藤島育成主任)トライアンフマーチはそれまで、ノーザンホースパークで乗馬として繋養されていた。それが乗馬を引退するにあたって、藤島育成主任の元にリードホースとしての転用が持ち掛けられたという。 「この経緯でリードホースとなった馬はいなかっただけに、当初は牝馬のような仕事ができるかが不安でした。ただ、実際に子供たちと一緒に放してみると、すぐに自分の役割を分かってくれたというのか、今では立派にリードホースの仕事をしてくれています」(藤島育成主任)取材の後、撮影のために様々なイヤリング厩舎を訪問したが、その際に、リードホースを務めている、フサイチホウオーの姿を見つけることができリードホースとなる馬はその作法を先輩から学んでいく繁殖上がりの牝馬だけでなく、乗馬から転身した■馬も13仲睦まじく並ぶリードホースの2頭、ブルーメンブラットとトゥーピー放牧中の馬たち12月頃には引き上げるようにしていま

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