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ウインドインハーヘアは現役時に、ドイツのG1アラルポカルを優勝。ノーザンファームに繁殖牝馬として導入されてからは、ディープインパクトが「日本競馬史上最強馬」と呼ぶに相応しい競走成績を残しただけでなく、その兄であるブラックタイドと共に、父系を形成する源となっていく。それどころか残した牝馬たちも優秀な繁殖成績を残し続け、その中からはレイデオロやレガレイラといったG1馬も誕生している。まさに歴史的名牝となったウインドインハーヘアが、繁殖牝馬を引退後にリードホースになったというニュースを見て、「リードホース」という存在を知った方も多いのではないだろうか。リードホースとは、イヤリングでの管理が始まった仔馬たちを放牧地へ放つ際、その群れのリーダー的存在を担う馬のことである。ただ、リーダーとは言えども、ウインドインハーヘアのように、繁殖牝馬を経験している馬がその役割を行うのがほとんどであり、子供たちの「保母さん」的な表現の方が合っているのかもしれない。 「現在、ノーザンファームでは48頭のリードホースを管理していますが、その中には■馬のリードホースもいます」と話してくれたのは、ノーザンファームイヤリングの藤島秀行育成主任。以前はイヤリングの厩舎長を務めており、その頃からリードホースを扱ってきている。 「イヤリングにおいてリードホースを用いた放牧管理が始まったのは、イヤリングの各厩舎で冬季夜間放牧を取り入れ始めた時期と重なります。当初はウインドインハーヘアをはじめ、引退した繁殖牝馬に対するサードキャリアを設ける目的が主でありましたが、リードホースを入れた放牧地では事故が格段に減るといった効果が現れました」(藤島育成主任)イヤリングの馬たちは、その期間のほとんどを放牧地で過ごす。イヤリングスタッフも馬たちの日々のコンディションを実際に集牧時にチェックするだけでなく、放牧中はGPSを用いてデータでも確認しているが、四六時中観察・管理するのは難しい。中でも厄介なのが、自然環境の変化である。特に落雷といった突発的なアあの名牝も、繁殖引退後はリードホースとなっていたNovember 2024 vol.27412    ノーザンファームYearlingの事務所表札フサイチホウオー(左から3頭目)とイヤリング期の仔馬たち仔馬たちの見守り役 リードホース─イヤリングにおける重要性とサラブレッドのサードキャリアの創出─Text: 村本 浩平

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