ECLIPSE_202410_10-14
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コと、歴戦のG1戦士たちが上位4頭を占めた20年、レースレーティング125・25をマークしたインターナショナルSは、国際機関が認定するワールドベストレースに選出されている。芝10F路線における最重要競走の1つであり、ここを勝てば、その実績をもってしてチャンピオンホースの称号を手にする可能性があるのが、インターナショナルSなのである。ヨークの開催責任者はウイリアム・ダービーさんという、競馬の仕事をするには打ってつけの名前の方なのだが、その彼にドゥレッツァ遠征の一報を伝えると、G1勝ちの実績があるビッグネームの参戦を、手放しで喜んでくれた。その後ダービーさんは、ドゥレッツァ陣営のために様々な便宜を図ってくれることになったのだが、その詳細は後述したい。インターナショナルSに挑む日本調教馬は、ドゥレッツァが3頭目となる。クトロキューショニストにわずか首差及ばぬ2着に健闘した一方、19年のシュヴァルグランは、いささか距離不足の懸念を払拭できず8着に敗れていた。日本調教馬全体の水準が、世界でも有数の領域に到達しようとしている今、トップホースの1頭であるドゥレッツァが挑めば、おおいに勝機があると筆者は見込んでいた。そんな中、唯一気懸かりだったのは馬の状態だった。前走のG1天皇賞・春(芝3200m)は15着に敗退。レース後にJRAからは、右第1指骨剥離骨折で3カ月以上の休養を要する見込みとの診断結果が発表されていた。だがその後、故障はきわめて軽微なものであったことが判明。同時に、大敗の背景には別のファクターが存在したことも明らかになった。天皇賞・春が行われた4月28日は、全国40地点で最高気温が4月の観測史上1位を記録した日で、京都も30・6度と、今年初めての真夏日となった。暑さに体が慣れていなかったドゥレッツァは、熱中症に近い症状に陥り、敗因はむしろそちらにあったというのが、陣営の見立てであった。ノーザンファーム天栄に戻った同馬は、比較的早い段階で、インターナショナルSに向けての立ち上げを行うことができ、以降は順調に調整が積まれた。海外遠征を具体化させる上で、極めて重要な要素の1つとなるのが輸送だ。残念ながら現在、馬を運ぶことができる日本から英国への直行便は飛んでいない。フランクフルトまで飛び、そこから陸路でニューマーケットまで運ぶことになる。トータルで1日半以上かかる輸送を、どのタイミングで行うか。昨年まで、日本調教馬が英国のレースに出走する際には、レース施行日の遅くとも14日前までに英国に到着してOctober 2024 vol.27312       05年のゼンノロブロイは、勝ち馬エレドゥレッツァが挑んだ至高の10F戦─2024インターナショナルS─

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