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に彼に感謝の気持ちになりました。彼が必死になって頑張ったからこそ、サポートしてきた私も、同じような感動や喜びを感じられたのであり、彼の存在は私にとっての誇りです」(楠木主任)そして、総合馬術団体で銅メダルを獲得した日本代表チームの活躍も、楠木主任にとっては喜ばしいことであった。 「日本代表チームの大岩(義明)さんと、戸本(一真)と北島(隆三)は、同じ明治大学の馬術部となります。また、自分が日本代表として仁川アジア大会の総合馬術団体に出場した時のメンバーが、北島と田中(利幸)でした。4人共に凄いことをやってくれたと思いますし、この快挙が馬術の世界だけでなく、競馬の世界でも話題になってくれたのが嬉しかったですね」(楠木主任)        9 「佐藤選手には『勝手な思いだけど、ピック出場を目指した時期があった。その思いを佐藤選手に伝えたことがあったという。ちょっとだけ自分の夢を乗せてもらうよ』と伝えていました。それだけに、彼や馬術の仲間たちのメダル獲得は、格別な思いがしていました」(楠木主任)藤選手は、近々ノーザンファームを訪問予定であるという。 「その時には代表や副代表に御礼と報告をしに、メダルも持ってきてくれるそうです。自分も銀メダルを間近に見られるのかと思うと、ただただありがたいですね」(楠木主任)術競技の実施は今大会が最後となっており、2028年のロサンゼルスオリンピックからは、代わりに障害物競走が採用されることが決まっている。 「佐藤選手には冗談で、『競技を引退したら、牧場で騎乗スタッフとして働いてみない?』と話したこともあります。それだけのセンスがあるだけに、次の大会から馬術が無くなるのは残念ですが、あれだけの熱意がある選手ですので、障害物競走もマスターして、またメダルを取ってもらいたいですね」2024パリオリンピックは特別な大会となったに違いない。かつて楠木主任も、馬術でオリン閉会式も終わり、日本に帰国した佐残念なことに、近代五種における馬そう話した楠木主任にとって、この写真提供…近代五種日本代表チーム(村本浩平)近代五種日本代表チーム。向かって右が津山論将コーチ、左が成田勝俊コーチ 近代五種は、短距離走、走幅跳、やり投、円盤投、レスリングの5種目で行われた古代オリンピックにおける五種競技を継承した競技。近代五種は、ピエール・ド・クーベルタン男爵により創設された。クーベルタン男爵は、古代オリンピックの五種競技を高く評価し、近代的な種目から構成される同様の競技を近代オリンピックでも実施することを提案した。この競技を通して「完璧」なアスリートの強さが試されるとした。近代五種の人気が高まり、国際連盟である国際近代五種連合(UIPM)が1948年にロンドンで創設された。現在、120カ国以上の国が加盟している。■ルールの概要・水泳:200m自由形・フェンシング(エペ):2つのラウンドで行われる。最初のランキングラウンドは、1分間1本勝負の総当たり戦で行われる。各試合は、突きが決まればその時点で終了となる。次のボーナスラウンドでは、ランキングラウンドの結果に基づき、下位の選手から45秒間の勝ち抜き戦を行う。1試合勝つごとに1ポイントが与えられる。2つのラウンドの得点が合計される。・馬術(障害飛越):貸与馬による障害飛越競技(騎乗馬は抽選により決定)で、12障害15飛越(ダブル、トリプルの連続障害を含む)、高さは最高110cmのコースで行われる。300点満点からの減点方式で、拒止(障害の前で止まる)、逃避(障害を避けてしまう)、障害の落下があると減点となる。・レーザーラン:射撃と600mランを交互に4回繰り返す。射撃は10m離れた場所に設置された5つの的に当てなければならない(制限時間50秒)。 近代五種は、5つのスポーツからなる4種目で構成される。まず、フェンシング、馬術、水泳の3種目のランキングから選手に得点が与えられ、これに従ってレーザーランのスタートポジションが決められる。最終種目レーザーランでは、トップの選手から得点差1点につき1秒の時間差が設けられてスタートし、最初にフィニッシュした選手が金メダルを獲得する。 多様な特質をもったスポーツから構成される近代五種は、選手を体力と精神力の限界まで追い込み、並外れたスキルも同時に求められる過酷な競技であると言えよう。■オリンピックにおける歴史 1912年ストックホルムオリンピックで初めて実施された。当初は1日あたり1種目が行われたが、1996年のアトランタ大会から全種目が同じ日に行われるようになり、競技がより過酷になった一方で観客への魅力が高まった。女子種目は、2000年シドニーオリンピックから実施されるようになった。近代五種は、ハンガリーやスウェーデンなどのヨーロッパ諸国が長らく圧倒的な強さを誇っており、特にスウェーデンは1912年ストックホルムから1932年ロサンゼルスまでの5大会(1916年ベルリン大会は第一次世界大戦のため中止)で、15個のメダル中13個を獲得している。 今大会2024年パリオリンピックをもって馬術競技の実施は終了となり、次回2028年ロサンゼルスオリンピックからは、馬術に代わり障害物レースの実施が決まっている。近代五種

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