へと入隊。明くる年の2013年から、自衛隊体育学校で近代五種競技に取り組んでいく。2021年に日本選手権の男子個人で初優勝を果たすと、2023年のワールドカップソフィア大会では2位となるなど、めきめきと成績を上げていく。だが、馬術に関しては成績が安定せず、ほとんどの大会で障害物の落下が見られていた。佐藤選手の苦手な馬術を克服すべく、自衛隊体育学校で馬術の指導を行ってきた成田勝俊氏は、大学時代の馬術部で同期だった、ノーザンファーム空港(イヤリング兼任)の川崎洋史場長へ、馬術指導の依頼をあおぐ。その依頼を受けた川崎場長は、ノーザンファームの吉田勝已代表へ事のあらましを説明していく。すると、北海道乗馬連盟の会長も務めるなど、日本の馬術界にも多大なる貢献を果たしている吉田代表は、選手の受け入れを快諾した。 5 「その時には女子の代表に選出されたのは、今年のゴールデンウィーク明けだった。た、内田美咲選手も一緒でした。佐藤選手には練習がてら、ノーザンホースパークの屋内馬場で低い障害を飛ばせてみたのですが、運動神経の良さが感じられた一方で、騎乗技術に関しては牧場にいる若いスタッフほどの技術しかありませんでした」(楠木主任)ず、佐藤選手は思わぬ言葉を楠木主任に告げてきたという。 「佐藤選手は『僕は馬術で障害を落とすことなく、300点満点をとれたのならば、オリンピックでメダルを取れます』と、はっきりと言ってきました」(楠木主任)さは110cm。これはある程度、調教が行き届いている乗用馬ならば、普通に飛べる高さである。それでも佐藤選手が障害を落としてしまうことに関して、楠木主任は技術的なことよりも、馬とのコミュニケーションを深めるべきだと感じ取った。 「障害を飛越するのは、人ではなく馬です。上手いライダーが騎乗したからといって、決して馬が高く飛び上がれるというわけではありません。それだけにライダーの立場として、どのようなアプローチで騎乗していくか、そして、どれだけ馬を信頼してあげられ佐藤選手がノーザンファームを訪れそれだけの技術だったにも関わら近代五種の馬術における、障害の高表彰式後に佐藤選手から楠木主任へ送られてきた銀メダルの写真金メダリストA・エルゲンディ選手(左)と銅メダリストG・マラン選手(右)と佐藤選手と騎乗馬VELOCE DE RIVERLAND*IFCE
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