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 「近代オリンピックの父」と呼ばれる、ピエール・ド・クーベルタン男爵。そのクーベルタン男爵が古代オリンピックで行われたペンタスロン(レスリング、円盤投げ、やり投げ、走り幅跳び、短距離走という五種競技)を元に発案し、創設されたのが、「キング・オブ・スポーツ」と称される「近代五種」である。近代五種の競技はパリオリンピックでの競技順に馬術(障害飛越)、フェンシング(エペ)、水泳(200m自由形)、そして射撃・ランニング(600mトラックを周回するごとに、レーザーピストルの射撃5発の的中を4セット繰り返し行う)となっている。近代五種は1912年のストックホルムオリンピックから正式種目となり、2000年のシドニーオリンピックからは女子種目も追加されている。だが、これまでの大会において、日本選手はメダル獲得どころか、入賞すらままならなかった。だが、今年のパリオリンピックで、ついに歴史が動いた。オリンピック初出場を果たした佐藤大宗選手(自衛隊)が1競技目、馬術での300点満点を皮切りとして、残る4競技でも高得点を重ねていく。最後の競技となった射撃・ランニングでも全体で6位の成績を残し、見事に銀メダルを獲得。ストックホルムオリンピックから112年目にして、日本の近代五種競技最初のメダリストとなった。その佐藤選手がメダル獲得後のインタビューにおいて、「馬術で満点を取れたことで勢いに乗れました。その馬術の手助けをしてくれたノーザンファームに感謝します」と日本競馬界における、トップブリーダーの名前をあげた。 「サポートしてきた立場として、佐藤選手からノーザンファームに感謝の言葉を言ってもらえたのは、物凄く嬉しかったですね」その佐藤選手の快挙と発せられた言葉を聞いて、自分のことのように喜んでいたのが、ノーザンファームで馬術の指導を行った、楠木貴成騎乗指導主任だった。佐藤選手は2012年に海上自衛隊     4近代五種のメダリストが伝えた「ノーザンファーム」への感謝の言葉「障害を落とさなければメダルを取れる」初対面で告げてきた強い決意September 2024 vol.272馬術競技、出番前に競技馬場へと向かう佐藤選手と津山コーチパリオリンピック近代五種 銀メダル獲得の舞台裏─ノーザンファーム 楠木貴成氏インタビュー─Text: 村本 浩平

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