Ceasario_ECLIPSE_20240903-2
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2004年12月25日の新馬戦、翌05元日に発生した能登半島地震で被災した元調教師の角居勝彦は、拠点を置く能登の復興支援と引退競走馬の支援活動を各地で続けている。かつて管理したシーザリオについて話を聞くため電話をしたときは、これから奈良の天理大学馬術部でホースセラピーをする、というタイミングだった。 「ウマ娘をプレーしたことはありませんが、もちろん知っています。オープニングのとき、ウオッカについて取材を受けましたしね」新たにウマ娘のキャラクターとなったシーザリオについて、まず思い出すのはどんなことかと訊ねると、こう答えた。 「うちの厩舎に来た当初は、種子骨に鬆(す)が入っていて、競走馬になれるかどうかという状態だったのですが、調教が進んでデビューしたとき、牧場の人に昔はどんな馬だったのか聞いたんです。そうしたら、お母さんと一緒に入る馬房の角にあるウォーターカップの三角の小さな台の上に、4本脚で立っていたことがあったというんです。とてつもない運動神経と、バランス感覚ですよね」調教師としては扱いやすい馬だったという。 「牧場で上手にしつけられていたので、行儀がよく、手がかかりませんでした。ウオッカもそうだったように、あのクラスの牝馬は女王様のように扱わないといけないのですが、気難しいところもなかったですね」年の寒竹賞、フラワーCと3連勝し、桜花賞では2着に惜敗するも、オークスでG1初制覇を遂げた。7月のアメリカンオークスも制し、6戦5勝2着 1番仔トゥエルフスナイト牡2007/5/2キングカメハメハ1戦1勝牝2008/4/22キングカメハメハ未出走 2番仔ヴァイオラ牡2010/2/11シンボリクリスエス14戦6勝 3番仔エピファネイア1回というパーフェクトな戦績で、競走馬生活を終えた。 「うちの厩舎には1年もいなかったので、あまりいろいろなステージに上げることはできなかった。瞬く間にスターダムにのし上がって引退した、という印象です」繁殖牝馬としても超一流で、07年に生まれた初仔のトゥエルフスナイトから20年に生まれたテンペストまで12頭の仔を産み、うち3頭が角居の管理下でG1ホースとなった。最初に栄冠をもたらしたのは、13年の菊花賞、14年のジャパンCを制した3番仔のエピファネイア(父シンボリクリスエス)だった。 「G1を勝った3頭のなかでは1番ボリュームがあって、見栄えのする馬体でした。すごい能力を見せてくれたのですが、だんだんうちのチームではコントロールするのが難しくなるほどのオーバーパワーでした(笑)」次にG1馬となったのは、2015年の朝日杯FSを勝った6番仔のリオンディーズ(父キングカメハメハ)だった。 「3頭のなかでは最もコンパクトで、動きも軽く、扱いやすかったです。朝日杯では母馬同士がライバルだったエアスピネルを差し切って、血のドラマを見せてくれましたね」 S3、翌頭19目年はの、皐2月01賞8を年無の敗ホでー制プしフた9ル番仔サートゥルナーリア(父ロードカナロア)だった。 「育成の段階から、完成度の高い馬でした。ダービーでは発走前にテンションが高くなり、連勝が途切れて(4着)しまいました。仕上げ過ぎたのかもしれません」これら3頭のうち、どの馬が1番母に似ているかという質問には「うーん」と唸るにとどまったが、共通項はあったという。 「このクラスになると期待が大きく、デビュー戦から結果を求められるのですが、シーザリオ自身も、その仔たちも、7割くらいの仕上げで勝ってしまうんです。ポテンシャルが非常に高いので、仕上げのプロセスに人間の操作や小細工を必要としないんです。G1馬になった3頭はそれぞれ父が違って、3頭とも種牡馬になったのは、すごいことですよね」声音から、嬉しそうに微笑んでいることがわかった。かつての名調教師は、自身が育んだ「角居血統」の馬たちを、今も静かに見守っている。本文中敬称略(島田明宏)September 2024 vol.27254シーザリオ 4番仔ロザリンド 5番仔クローディオ 6番仔リオンディーズ 7番仔グローブシアター 8番仔シーリア 9番仔サートゥルナーリア牡2016/3/21ロードカナロア 10番仔ファーストフォリオ牝2017/5/1キングカメハメハ18戦4勝 11番仔ルペルカーリア 12番仔テンペスト馬名性別生年月日父牝2002/3/31スペシャルウィーク6戦5勝牝2011/2/3シンボリクリスエス6戦0勝騸2012/2/8ハービンジャー31戦1勝牡2013/1/29キングカメハメハ5戦2勝(朝日杯FS)牡2014/2/14キングカメハメハ26戦7勝牝2015/3/17キングカメハメハ14戦2勝10戦6勝(皐月賞・ホープフルS)牡2018/4/28モーリス牝2020/2/4ロードカナロア戦績(G1勝鞍)(アメリカンオークス・優駿牝馬)(ジャパンC・菊花賞)11戦2勝 ※7戦1勝  ※※現役馬(戦績は2024年8月現在)        ─   69

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