「道中で3、4番手に下がったときはスルーセブンシーズが凱旋門賞で最後方にいた時に、このまま競馬に参加できずに終わるのかと思ったのと同じ感覚でした。このまま下がってしまうのか、どうなのかと。それがそこからもう1度先頭に立って、これまでの最大着差で勝ってくれるのですからね。馬も頑張ってくれましたし、ルメール騎手の引き出しの多さにも驚かされたレースでした。そして、タスティエーラとソールオリエンスもちゃんとパフォーマンスを出した中で勝ちきったのは、大きいですよね。価値があります」藤原助手も、「直線でもう1回伸びてきたので、正直驚きましたね。三国助手と一緒にレースを見ていたのですが、彼はゴールしてからずっと泣きっぱなしでした。自分ももちろん嬉しかったですが、彼にありがとうと言ってもらえて、これでいい形でバトンを返せるなという気持ちが大きかったです。自分がこの馬を担当するのはこれで最後になるかもしれませんが、来年もさらに活躍してくれると思いますよ」 観察する様な感じ。新馬と未勝利戦も 「僕が今まで見てきた中で、ドゥレッツァが1番凄いと思うのは、学習能力の高さ。最初の美浦や天栄でもそうでしたが、最初は様子見というか周りをそうでしたね。1度経験すると、2度目はしっかりと結果を出してくれる。この前後の差が大きいんですよね。だから菊花賞も、2周したのが良かったのかも。1周目はフワフワしたけど、2周目はしっかりと走ってくれたから。まあ、これはオカルトみたいなものだし、仮に来年の天皇賞春を使ったら、1周目から掛かっていっちゃうかもしれないけど(笑)。ただ本当に、この馬の学習能力の高さには驚かされています」いをまざまざと見せつけたドゥレッツァ。この激戦の疲れが抜け切らずに、年内は休養することが発表された。だが、この馬の可能性は非常に大きく、選択肢は多岐にわたる。 「まずは春をどこから始動することになるかですが、このまま体が増えなそして、尾関師は続ける。牡馬の三冠最終戦で、上がり馬の勢ければ、秋は凱旋門賞という選択肢もあると思います。あまり大きくない馬がいいということで、今年はスルーセブンシーズで挑戦させていただきましたが、ドゥレッツァは体のサイズも大きくはないですし、色んな可能性を視野に入れて、クラブとも相談していければと思っています」学習能力の高い馬ということは、経験を積めば積むほど、より強靱な精神と肉体を持つようになるということ。これからもっと色んな経験をして、まだ日本馬が成しえていない夢をつかむシーンがあれば、何と感動的か。まずは無事にが1番だが、来年のドゥレッツァの走りを心から楽しみにしたい。17Writer profile 木村 拓人 Hiroto Kimura1980年、宮城県生まれ。大学卒業後はフリーターを経て2007年から馬サブローの記者。グリーンチャンネルのパドック解説や海外競馬中継、競馬場のイベント等で活躍中。馬を見るのが大好きで、忘れられない馬はメダグリアドーロ、サイレントウィットネス、ローズキングダム。
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