ECLIPSE_202312_13-17
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チェックすることができて、希望する馬房に入ることもできました」ここまでの調整に関しては、本当にうまくいったと尾関師は振り返っていたのだが、まさかの事態が訪れることに…。 「枠順を見た時は、言葉を失いましたね。グローリーヴェイズも大外枠だったのですが、そのレースを見てて外枠は厳しいなと体験しましたからね。枠順が出る前に、新聞社の取材に対して『大胆な騎乗ができるのでは』というコメントをしていたのですが、枠が出て、より大胆に乗るしかないなと(笑)」実は、筆者の原稿はその言葉を採用させてもらって、終わってみればいい記事になったと思えるのだが、それにしても流石に大胆が過ぎる騎乗になったのは、皆様もご存知の通り。 「470キロを少し切るくらいになれば最高だなと思っていたのですが狙い通りに行きましたし、レース前も気は入っているけど落ち着いて、本当にいい状態でした。タスティエーラも出走していたこともあって、パドックでジョッキーと2人だけで話せる時間がいつもより長い感じで、自然と色んな会話も生まれていました。その中のひとつで『アグレッシブな騎乗と静かな騎乗、どちらがいい?』と聞かれたのですが、頭の中では静かな騎乗と思いつつも、ここで口に出すにもどうかと思っていたら、馬に乗る直前に『たぶん静かな騎乗になると思う』と言って、馬場に向かったんですよね。それなのに、まさかあんなにアグレッシブになるとは驚きましたが(笑)。返し馬の感触と二の脚が速かったことで、変に押さえ込むよりもと感じたようですね。自分は2周目で先頭に立つイメージこそあったものの、まさか1周目で先頭に立っているなんて夢にも思っていませんでしたし、正直、目を覆うような気持ちでした」この時の気持ちを、菊花賞に向けて入厩した時から担当している藤原助手にも、話を聞いてみた。 「それまで担当だった三国助手が調教中の落馬でケガをしてしまい、こんな連勝中の馬を自分が担当していいのかなとも思いましたが、結果を出せて本当に良かったです。乗り出した時は少し硬いかなと感じていましたが、調教を進めていくと柔らかみも増して、馬もどんどんいい雰囲気になっていっていました。本当にどっしりしている馬ですね。G1はそう簡単に勝てないだろうからと変に構えすぎずに、自分と馬のリズムを大事にできたのが良かったのだと思います。ただ、レースに関しては、スタートした時は何してんねんと(笑)。1度先頭を譲った時も、視線をトップナイフに移してしまいましたよ(トップナイフの半兄となるステラウインドが尾関厩舎所属で、藤原助手が担当していた)」京都の菊花賞を逃げ切ったのは98年のセイウンスカイが最後で、これも25年ぶりの快挙だった。December 2023 vol.26316    

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