ECLIPSE_202312_13-17
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ではありがちな敗戦だったかと思う。ただ、悲観する内容ではなかったし、尾関師もこう振り返ってくれた。 「初めて来た場所は慎重で動けないというか様子を見るところがあって、美浦や天栄でもそうだったんですよね。1度経験すると学習してクリアしてくれるのが、この馬の良さです」師がそう語る通り、未勝利戦ではきっちり変わり身を見せてくれた。 「競馬を1度経験したことで、一発回答してくれましたね。今終わって見れば、相手が重賞2勝しているサトノグランツで、鞍上がムーア。正直、ゴールした瞬間は変わったかどうか分からないくらいでしたが、勝ち切ってくれました。1度経験をするとちゃんと答えを出してくれる馬だなというのが、ここまでの過程で見えたレースでした。このあたりでは調教もやればやるだけ動く感触はあったけど、1戦目と2戦目では逆の方向に向かってしまう馬もいますからね」      質の高さを改めて感じた。だが、この後はドゥレッツァにとって試練の時を迎える。予定していたセントポーリア賞をザ石で回避。3月に予定していた1勝クラスも、傷腫れの治りが遅くて回避することになってしまう。 「ポテンシャルを感じながらも、もどかしい時期でした」未勝利戦を勝ったことで、陣営は資クラシックにも直結する大事な時期だけに陣営も、そして会員の皆様も気が気ではない時を過ごしたかとも思う。ここでスムーズにいっていれば…そういう思いを抱いた方も多かったと思うが、この我慢が雄飛の時に繋がったはずだ。 「予定していたレースを2回使えなかったので、厩舎としても背水の陣で臨んだのが山吹賞でした。スタートのつまずきは今見てもよく落馬しなかったと思えるほどでしたが、そこからよくリカバリーしてくれました。横山武騎手も前半は確認しながら追走した感じでしたが、大丈夫だと感じてからの内容は、盤石と言っていい内容だったと思います」この時期に2勝を挙げれば当然、春のクラシックへという思いも強くなると思うが、「強い勝ち方だったし、これだけの馬なのでダービーに間に合わないかという考えはありました。ただ、ここまでの過程で体質面の弱さを出していましたし、ダービーを考えればトライアルも使わないといけない。ここは無理するところではないという判断で、目標を先に置くこととさせていただきました。もちろん、あそこで使っても結果は出たかもしれませんが、結果的に我慢できて良かったと思っています」指揮官が我慢した成果を感じるのは、次走のホンコンJCTを使った時。 「この時は何の不安もないくらいに調整が進んで、心配なくレースに送ることができました。我慢したおかげで、体質面も強くなってきたのだと思います。レースは逃げた馬が大きく離していたし、普通に考えたら楽に逃げ切られる態勢でしたが、射程圏に入ってから前をとらえに行く時の脚が凄かったですね。素質の高さは感じていましたが、これは相当な器だなと確信に変わったのが、この時です。体質面でも何の不安も無く走れたので、今後の展望が開けるレースだったと思います」ルメールの感触もこのレースから一気に良くなっていたようで、苦しい時期を我慢した効果が早速現れていた。ここで普通ならば菊花賞トライアルへ、となるのだが自己条件の日本海S1勝目 22年11月12日 2歳未勝利 東京 芝2000mDecember 2023 vol.26314育成時(2歳 NF空港)─ドゥレッツァ 菊花賞 優勝─類いまれなる学習能力でつかんだ、最後の一冠

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