ECLIPSE_202311_11-15
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THEWORLDRACNG : FRANCE欧州最高峰の一戦、凱旋門賞が10月1日にパリロンシャン競馬場で行われました。今年はキャロットクラブ所属のスルーセブンシーズが、初の海外遠征として挑戦。日本からは唯一の出走馬となり、大きな期待と注目を集めました。年明けの段階では、まだ3勝クラスに属する条件馬であったスルーセブンシーズですが、3月の中山牝馬ステークスで重賞初制覇。春のグランプリ・宝塚記念でイクイノックスの2着と好走し、凱旋門賞参戦を表明すると、フランスに向けて9月15日に成田空港から出国し、現地ではシャンティイのニコラ・クレマン厩舎に滞在。今回は1頭での遠征となりましたが、環境になじんでリラックスした様子で、現地での調整も順調にこなしました。G1馬が実に11頭出走していた今年の凱旋門賞で、欧州の強豪に交じり実績面では見劣っていましたが、直近のレースで世界レーティング1位のイクイノックスに迫った実績は大いに注目されていて、最終的なフランスでの単勝オッズは11倍の4番人気。1週前、当週にシャンティイの芝コースで行われた追い切りでも好気配を披露。最終追い切りの翌日に、かつてフランスの騎手リーディングを4度獲得した現解説者のドミニク・ブフ氏と話す機会がありましたが、「フォームが良く力強さもあって、 I      フランスの馬場に適性がありそう。久しぶりの2400mをこなせれば、日曜日が楽しみだね」と言っていました。も黄色やオレンジに色づき始め、すでに秋の気配があったパリでしたが、当該週は夏が戻ってきたような気候となり、馬場もぐんぐんと回復。近年は天候不順で、過去4年の勝ち時計が2分31秒97馬場でも力を発揮してくる欧州馬相手に日本馬は相当苦労しましたが、今年は良に限りなく近い稍重馬場と、スルーセブンシーズには追い風と思えました。レースの前週には雨の日が多く、木々〜39秒30とかなりかかっており、タフなパリロンシャンのパドックは、プラタナスの木が生い茂って馬にはとても良い環境なのですが、さすがに凱旋門賞となると人が密集し、喧騒の中で平常心を欠いてしまう馬が例年少なくありません。それでも、パドックに登場したスルーセブンシーズは堂々と、落ち着きを保って周回。日本のレースとは異なる赤いメンコをしていましたが、これはフランスギャロのルールでメンコの色が決められていたためです。(下部写真参照)鞍上を託されたのは、中山牝馬ステークスを含めて、この日までコンビ3戦3勝であったクリストフ・ルメール騎手でした。母国に凱旋する形となり、凱旋門賞の2日前にはサンクルー競馬場のリステッド競走で7番人気の馬を勝利に導き、フランスでの久々の勝利も挙げて、好リズムで週末へ。「日本の馬で凱旋門賞を勝つことが、僕にとって1番嬉しい夢なので、頑張りたいです」と、決意を語っていました。凱旋門賞は昨年、除外馬が何頭も出たことから、フルゲートが従来の20頭から24頭に拡大されました。それでも今年は最終的に15頭立てで落ち着き、出走馬が確定していました。ペースメーカーが不在で、レースが流れずスローになることが予想され、ルメール騎手も戦前は逃げた馬のなるべく近くで競馬をしていくような、積極的な騎乗もイメージしていたそうです。しかし、いつも通り、あまりスタートは出ず、さらに返し馬で一生懸命走っていたということから、無理にポジションを取りにいくことはせず、2400mを走るのもオークス以来で久しぶりということで、じっくりと後方3、4番手から勝機をうかがう形に。下り坂でハミを少し噛んだということでしたが、レース後のルメール騎手は、「直線では長く脚を使って、最後まで頑張ってくれました。すごくいいパフォーマンスをしてくれました」と、馬群を割って強豪牡馬を何頭も交わし、4着まで追い上げる健闘を見せたスルーセブンシーズを称えて、納得の表情。「日本では絶対G1レベルで走れNovember 2023 vol.26214プラタナスの木が生い茂るパドックを周回中のエースインパクト

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