ECLIPSE_202310_10-14
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何かと過小評価されがちな、南米競馬。しかし、南米の国々はスポーツで常に世界のトップを争っていることを、忘れてはいけない。サッカーはもちろん、ラグビー、バレーボール、バスケットボールなど、世界大会の上位で南米諸国の国旗を見ないことはない。ならば、競馬も世界の上位にいると考えるべきである。実際、ジョアン・モレイラ騎手を筆頭に、世界中でブラジル人騎手が活躍している。通算1万3271勝という騎手の世界最多勝利記録を持っているのは、ブラジル人のジョルジ・ヒカルド騎手である。アメリカで開業しているブラジル人のパウロ・ロボ調教師は、G1ケンタッキーオークスをはじめ数々のアメリカ重賞を優勝している。また現在、ダーレージャパンのスタッドマネージャーを務めているのは、フランシスコ・ランサ氏というブラジル人である。人だけでなく、ブラジルからは世界的な名馬も産まれた。日本でもっとも有名なブラジル産馬は、サンドピットだろう。ブラジルでダービーを含むG1・4勝をあげた後に、アメリカへ移籍。アメリカでもG1を5勝し、1995年にはジャパンカップにも出走した(8着)。ワールドサラブレッドレースホース・ランキングにおいて、ブラジル産馬として歴代最高レーティングを持っているのは、ルロワデザニモーである。この馬もブラジルでデビューした後、アメリカに渡ってG1を3勝。2005年のエクリプス賞最優秀芝牡馬に輝き、124というレーティングを与えられた。種牡馬としては、日本で種牡馬として供用されているアニマルキングダムを輩出した。では、ブラジル産馬のグローリアデカンペオンが優勝した。グローリアデカンペオンはドル換算で920万ドルもの賞金を稼ぎ、史上もっとも賞金を獲得した南米産馬として君臨している。そ、日本もブラジルから繁殖牝馬を輸入している。2018年のG2フローラSを勝ったサトノワルキューレの母ヒアトゥウィンは、南アフリカでG12022年のG3ファンタジーSで大2010年のドバイワールドカップブラジル産馬のレベルが高いからこを勝ったブラジル産馬である。穴をあけたリバーラの母インドリヤは、アメリカ産馬だがブラジルで競走生活を過ごしてG3を勝利した。人馬ともにハイレベル・ハイクオリティな、ブラジル競馬。ハットトリックはこの地で、種牡馬として最後の仕事に臨んだ。2018年、ハットトリックのブラジルでの初年度産駒が誕生した。ここからハットトリックのゴールラッシュが幕を開ける。ブラジル・スタッドブックが発表している統計によると、初年度産駒がデビューした2020/21シーズンは7勝をあげた。翌2021/22シーズンは64勝と飛躍した。そのうち重賞ングで8位に入る金額だった。これは、驚くべき結果と言える。ランキングは数字の積み重ねである。そのため、産駒数の多い種牡馬が有利になる。実際、このシーズンの種牡馬ランキングでトップ3を占めたアグネスゴールド、ドロッセルマイヤー、プットイットバックは、いずれも10世代前後の産駒がいる。一方、ハットトリックはこの時点で、2018年産馬と2019年産馬の2世代しか出走していない。少ない産駒数で8位まで入ったということは、いかにハットトリック産駒が活躍したかを証明している。ブラジル・ハットトリックの初年度産駒でもっとも活躍した馬として、マカダミアという牝馬が挙げられる。マカダミアは2021年6月27日の2歳牝馬限定G1マルガリーダ・ポラーク・ララと、2021年10月9日の3歳牝馬限定G1エンヒキ・ヂ・トレード・ララを勝利した。ブラジルの競馬表彰のことを『モソロー賞』と言うが、2020/21シーズンにはモソロー賞最優秀2歳牝馬に輝いた。現在、マカダミアはアメリカで競走生活を送っている。2023年5月29日にG1ゲームリーSを優勝した。ブラジル産のハットトリック産駒からも、アメリカG1馬が誕生した。北米だろうと南米だろうと、世界のどこで種付けをしても、産駒の質がまったく落ちない。芝でもダートでも、短距離でも長距離でも、アメリカでもフOctober 2023 vol.26112                  90を6万2勝1、6G21レをア2ル勝はし、た種。牡獲馬得ラ賞ン金キマカダミアサッカー王国ブラジルを導いたハットトリック~リーディングサイアーに輝いた功績と栄誉を称えて~

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