ECLIPSE_202308_6-9
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しつつ、ハミ受けや右へもたれ気味なフォームの修正にも注力しましたね」 11月27日、東京の芝1800mでデビュー。初戦からセンスの良さを見せ、危なげなく新馬を勝ち上がる。騎乗したライアン・ムーア騎手は「タレントホース」と賛辞を送った。ノーザンファームしがらきで英気を養ったうえ、共同通信杯へ向かう。 「2度目の在厩となり、気持ちが静まるのは早かったですし、NFしがらきでの丁寧な取り組みを引き継ぎ、スムーズにコンディションづくりができましたよ。ポジションや展開に泣き、共同通信杯は4着だったとはいえ、脚質や適性を再認識。相手との力量差も測れ、次走へと生かせる材料を得られたのが収穫でした」   8抜け出してから耳を立て、集中し切れ回復力が優秀。中2週で弥生賞ディープインパクト記念への参戦を決断する。そして、松山弘平騎手を背に安定したレース運びで快勝。クラシックの切符を手にした。それでもゴール前でない気配があったと堀調教師は指摘する。皐月賞への追い切りでは、2週前はクロス鼻革、1週前にチークピーシーズ、当該週ではブリンカーと、段階的に制御力を強めながら、矯正馬具を装着させた。 「ブリンカーの着用を前提に試しました。クロス鼻革はマッチングが良く、皐月賞、ダービーと実戦でも取り入れています。早めに併走馬を交すパターンで見極めましたが、チークピーシーズは変化がうかがえず、ブリンカーでは効きすぎる。レースでの装着は取りやめました。でも一度、ブリンカーでスイッチが入って以来、ギアの上がり方がぐんと良化したんです」ハイラップが刻まれた皐月賞。追い込み勢に有利な状況を跳ね除け、いったんは好位から先頭へと踊り出たタスティエーラ。2着だったとはいえ、懸命な走りが忘れられない。完成される前にありながら、同馬は力が要る馬場状態のなか、前半からスを歩き、ステッキで路盤の柔らかさをチェックしながら、レースのイメージをすり合わせました。フットワークが軽いタスティエーラにとって、歓迎する条件ではありませんでしたが、荒れていない進路を選び、非の打ちどころがない騎乗。松山騎手との2戦も、ダービーにつながる貴重な経験となりました」負担が大きな戦いだったものの、ノーザンファーム天栄にて短期のメンテナンスが施され、すっかり疲れは解消。通常はNFしがらきを使用している陣営だが、帰厩時はゴールデンウィークと重なり、渋滞が予想される。輸送時間の短縮が、行先変更の主な理由だった。 「初めてとなる場所への往復でストレスを受けていないか、きめ細かく確認しながら騎乗を立ち上げましたが、ふっくらした健康体に戻り、メンタルも安定していて、とても調整しやすかったですね。しがらきで担当しているスタッフが出向くなど、多大な配慮をいただいたおかげです」 6月2日、ノーザンファーム早来へ向けて出発したタスティエーラ。夏場のリフレッシュによって、一段と精悍な姿に変身することだろう。いまから競馬場で再会する日が、楽しみでならない。かかわる人の余りある情熱がみごとに結集した、第90回日本ダービー。ブAugust 2023 vol.25922/11/27 2歳新馬 東京 芝1800m  「当日の朝、松山騎手と一緒に芝コー23/4/16 皐月賞-G1 中山 芝2000m(2着)23/3/5 弥生賞-G2 中山 芝2000m─タスティエーラ 東京優駿 優勝─至上の夢のその先へ、ハートフルな協奏曲に乗って

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