ECLIPSE_202307_16-19
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南半球最大の競馬大国であるオーストラリアとニュージーランドではシャトル種牡馬やトレードを通して血の交流が盛んに行われている。過去にはデインヒル系が完全に席巻していたオセアニア競馬も、今や世代が代わり血統の傾向も多様化している。今シーズンのオーストラリアの獲得賞金リーディングを見ても、上位から順にインヴィンシブルスピリット系のアイアムインヴィンシブル、ザビール系のサヴァビール、デインヒル系のスニッツェル、サドラーズウェルズ系のソーユーシンク、エンコスタデラーゴ系のズースター、ストリートクライ系のプライドオブドバイ、サドラーズウェルズ系のダンディールと続き、勝ち星順のリーディングでは、ラストタイクーン系のリトゥンタイクーンや、ヘイロー系のベターザンレディなども上位に入ってきており、まさにオーストラリアの種牡馬の勢力図は群雄割拠の時代に入ってきているとも言える。様々な血統の種牡馬が混在するオーストラリア、ニュージーランドで年々存在感を増しているのが、日本の血統だ。過去には、日本からのシャトル種牡馬としてバブルガムフェロー、タヤスツヨシ、アグネスワールド、シンコウキングなどがオセアニアでG1勝ち馬を輩出しているほか、フジキセキは母父として、カーマディックやユアソングといった優秀の種牡馬の血統表にその名を残している。昔から日本の血統が多く入っているオセアニアだが、ここにきて、かつてないほどに日本産の種牡馬への注目度が大幅に上がってきている。多くの日本馬がオーストラリアの主要G1で勝利し、世界中で素晴らしい活躍を挙げていることも理由の一つだが、やはり実際に日本産の種牡馬の産駒が素晴らしい活躍をしていることが、何よりも大きな理由だ。その筆頭は、日本からのシャトル種牡馬のモーリスと、サトノアラジンだ。モーリスは、初年度産駒からヒトツとマズの2頭のG1勝ち馬を輩出。特にヒトツはビクトリア・ダービー、オーストラリアン・ギニーズ、ATCダービーと、1600m〜2500mでG1を3勝し、モーリスの代表産駒となった。マズは短距離路線で活躍し、G1勝利こそドゥームベン10000の1勝のみだが、総賞金1500万豪ドルのジ・エベレストや総賞金300万豪ドルのネイチャーストリップSなど、多くのG1や高額賞金レースで3着以内に入っている。その他の注目の産駒としては、現在3歳のキボウがいる。2021年のクラシックセールにて17万豪ドルで落札された本馬は、現在5戦3勝。前走はG3のアップアンドカミングSを2馬身差の完勝、今後のG1制覇に期待がかかる。July 2023 vol.25816        ステファノスText: 川上 鉱介オセアニアで活躍する日本種牡馬と大きな期待を受けるステファノス

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