ECLIPSE_202303_17-21
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ク(リJプRトAグ東ラ京ム 競馬場 2017年に現役を引退して、東京競馬場乗馬センターに迎えられたクリプトグラム。その1年後には誘導馬として、再びファンの前に姿を見せました。でも、彼の仕事はそれだけではなく、マルチに活躍しています。東京競馬場に来た当初、担当したのは職員の上妻和道さん。馬場馬術の選手として活躍していた上妻さんが、クリプトグラムの馬場馬術への適性を感じてトレーニングを始めました。競馬と馬術では求められることが大きく異なりますが、中でも馬場馬術はダイナミックなステップを踏むために、馬体乗馬センタ ー)を収縮させて力を溜めなくてはなりません。レースでは力を爆発させて馬体を極限まで伸ばして走っていた彼らが、正反対のことをしなくてはならないのです。そのトレーニングも順調に進み、引退翌年の2018年3月に競技デビュー、そして4月には誘導馬デビューを果たしました。馬場入場する誘導馬は、ただ歩いているだけに見えていろいろな苦労があります。そもそも本馬場入場はテンションが上がるタイミングですが、何があっても落ち着いて常歩をするのが誘導馬の仕事です。まわりの競走馬がチャカチャカしても、つられるわけにはいきません。本馬場入場の音楽やレースに向かう独特の雰囲気の中、平静を保つのは、レース経験のある馬にとっては簡単なことではないのです。が最優先、でも競技では落ち着いていればいいというわけではありません。馬場馬術競技では力を溜めて、それをうまく解き放つことで、キレのある美しい動きを生み出す必要があります。Lクラスでデビューした上妻さんとクリプトグラムは、2019年にはMクラスにステップアップして内国産馬限定の全日本大会に出場しましたが、決勝進出はなりませんでした。しかし2020年にはさらにSクラスにアップして、全日本大会の決勝で3位と結果を出しました。そ競走馬の先頭または後ろについて本誘導ではとにかく落ち着いていることの後、上妻さんの転勤でコンビを解消し、現在は山下哲哉さんが担当しています。 「クリプトグラムはちょっと勝ち気で、手の内に入れるのがすごく難しい馬ですが、はまればサラブレッドとは思えないような素晴らしい動きをするので、僕がちゃんと乗ってあげられればいい成績を残せるだろうという感覚はあります。ただ、とにかく繊細で、乗り手のタッチに敏感なので、ケンカしないように細心の注意を払って乗るのですが、何かの拍子に気に障ると取り返しがつきません。一度怒るとなかなか許してくれません(笑)」と山下さん。特に競技会場でテンションが上がってしまうことが多く、練習通りの演技がなかなかできないことが目下の課題です。ただ、誘導の仕事にはすっかり慣れ、自身が勝っている目黒記念で先頭誘導をした時も動じることなく歩くことができ、また、スポーツ少年団のメンバーの練習にも使えるように     なるなど、課題の性格も少しずつ落ち着いてきているそうです。今年は、誘導、馬術、普及の全てに同じくらいの割合で臨みたいとのこと。東京競馬場で開催がある時は誘導がメインになるので、競技はそれ以外の時期に限定されますが、全日本大会出場権利の獲得を目指します。出場するクラスは現在考え中で、できれば内国産馬のチャンピオンを決める内国産馬場馬術選手権(セントジョージクラス)にチャレンジしたいとのことです。March 2023 vol.25420演技の美しさを競う馬場馬術競技では馬もドレスアップ。タテガミもきれいに編んであるクリプトグラムと山下さん。馬場馬術競技馬としての持ち味はキレのある速歩©c3.photography勝ち気な性格も、ここ最近は穏やかになってきて少年団の練習馬も務めている馬術、やってます(前編)─セカンドキャリアで輝く、元キャロットクラブ所属馬たち─

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