「大分前から興味はあって、JRAの香港事務所に問い合わせたら『規定は満たしている』と言われたから、昨年にも来日するつもりでした。香港ジョッキークラブとも調整できていたのですが、コロナ騒動が収まらなかったので、今年に延期されました」JRA参戦初日に、カゼノタニノアヤカで初勝利を記録しました。 「(身元引受調教師の)安田隆行調教師の馬だったし、(坂井)瑠星君から『自分は来週からフランスへ行っちゃうので、今週中に僕の前で勝ってください』と言われていた中で勝てたのは良かったです」ファンの声援は香港と違いましたか? 「最終レースだったのに、多くのファンが残って祝福してくれました。香港と比べてというより、イギリスでもどこでも、こんなことはないと思います。日本のファンは素晴らしいです」レパードS(G3)を勝ち、JRA重賞初制覇。私はこの時、フランスで矢作調教師と一緒にいたのですが、先生も『良くなるのはもっと先と思っていたのに……』と、びっくりされていました。 「追い切りでは少し重く感じたので、ここまで走れるとは思いませんでした。でも、競馬場へ行ったら別馬のようで、人気馬の後ろのグッドポジションを取れました。15番枠だったので距離のロスなく行きたかったから、これは大きかったです。タフなレースになって、迷惑をかけてしまったのは反省点ですが、瑠星君の情報も的確だったし、何より厩舎が良い仕上げをしてくれたのが大きかったです」乗っていただきました。印象に残った馬はいましたか? 「新馬戦で乗ったリアルスティール産駒のライジングホープは良い馬でした。調教でも、デビュー前の馬とは思えないほど、良い動きをしてくれました。デビュー戦は負けてしまったけど、どんなに走る馬でも経験の浅いうちにはよくあることなので、悲観する必要─8月7日にはカフジオクタゴンでキャロットクラブの馬にも何頭かはないでしょう。将来性の高い馬であることは間違いありません」新潟日報賞で半馬身差の2着だったエルカスティージョはどうでしたか? 「勝てたレースでしたけど、外から早めに来られた分、動かざるをえなくなって、最後が甘くなりました。枠順が良ければ、もう1つ前のグループで走れて勝てていたはずです」重賞のアイビスサマーダッシュ(G3)で騎乗していただいたアヌラーダプラは残念ながら17着でしたが、何か印象に残ったことはありましたか? 「期待していたし、道中の手応えも良かっただけに残念な結果に終わってしまいました。本来、もっと走っておかしくない馬だとは感じました。また、個人的にはキャロットさんの勝負服でJRAでの初めての重賞騎乗ができたのは感慨深く、印象に残りました」では、最後に日本のファンの皆様へひと言ください。 「毎週、温かい声援を送っていただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。日本人は皆、優しくてお陰で素晴らしい時間を過ごせました。また必ず帰ってきますので、その時も応援してください。よろしくお願いいたします。今回は本当にありがとうございました」次回の来日も楽しみにお待ちしております。ありがとうございました。(本文・写真提供 平松さとし)17ライジングホープ 8月20日小倉 2歳新馬(5着)─Writer profile 平松 さとし Satoshi Hiramatsu1965年2月7日、東京出身。日大農獣医学部中退後、専門紙を経てフリーライター。優駿、競馬ブック、Number等に雑誌や新聞に寄稿する他グリーンチャンネルでリポーターも。藤沢師やルメール騎手の他、武豊騎手ら現場関係者と深い親交を持つ。「藤沢和雄の調教論」「クリストフ・ルメール〜挑戦」他、著書多数。エルカスティージョ 8月6日新潟 新潟日報賞(2着)───── ─
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