ニューマーケットではなく、ヨーク近くの田舎街に厩舎があったと思うのですが? 「そうです。田舎だったので平和でした。観光する時間もあったし、香港みたいに忙しいところから離れて、良い時間を過ごせました(笑)」調教は毎日、騎乗されていた? 「毎日ではないですけど、多くの日で乗っていました。香港と違い坂路があるなど、調教スタイルも異なるし、牡馬や牝馬もいて(香港はほとんどが騸馬)、良い経験になりました。また、お城の横を馬で歩いたり、様々な形態の競馬場へ行ったり、これも向こうへ行ったからこそできた経験でした」ジョンストン調教師も紳士的だと思うのですが、いかがでしたか? 「香港は若い騎手への指示が沢山あるのですが、ジョンストンはいつも『感覚で乗って』としか言ってきませんでした。その分、自分で考えて乗ったし、感覚が磨かれて自信になりました」ジョッキーとの交流もありましたか? 「ライアン・ムーアには色々と相談に乗ってもらいました。世界トップクラスの騎手なので、少し話すだけでも刺激になりました」その成果もあったか、2018/2019年シーズンはキャリアハイのG3も勝ち、トニー・クルーズ賞にも選ばれました。 「すごく良い年でした。イギリスから帰って来て、自分の感覚を信じられるようになっていました。ホーホーカーンは雨と長い距離に強かったし、ライズハイは師事したキャスパー(ファウンズ調教師)の馬で、G1でも善戦できる力の持ち主でした」トの3着もありましたね? 「はい。大舞台で好走してくれて、自分にとっては国際騎手になるドアをノックできた年になりました」スのシャーガーCに招待され、アスコット競馬場で初勝利をマークしました。 「ロイヤルアスコット開催を過去にG1の香港カップでウインブライ国際騎手といえば19年にはイギリも沢山見ていたので、アスコット競馬場で勝ちたいというのは1つの夢でした。シャーガーCということで、お客さんが多い中、勝てたのはグレートメモリーになりました。また、以前、香港で乗っていた際にお世話になったG・モッセと一緒に乗れたのも良かったです」団体戦の優勝にも貢献しました。 「1つ勝って、後は着に来てポイントを取れました。団体戦という形で応援されるのは初めての経験だったので、楽しかったです」2019/2020年シーズンはゴールデンシックスティーとのコンビで香港クラシックマイル、香港クラシックカップ、香港ダービーを制覇。ラッパードラゴン以来の香港三冠を達成されました。 「最初に乗った時からアクションがスムーズで、グッドホースと感じました。それまでも良い馬に乗ったことはあったけど、初めて感じるフィーリングでした。大きくないけど、手前を替えるのも、動きそのものも、とにかくなめらかでした。それでも、若い時は経験不足な面があったのは否めなかったけど、一戦ごとに成長していきまし三冠レースは思い出深い? 「勿論です。どのレースも良い思い出です。どの距離でもこなしたし、ラストで安定して22秒台の脚を使うのは、本当に凄いと感じました。ダービーはプレッシャーのある中で勝てて、自分でも感動しました」そういう経験を活かし、20年はサザンレジェンドで香港マイル(G1)勝ち。ついに、自身初のG1制覇を飾りました。 「ビューティージェネレーションがいたけど、少し調子を落としていたのでチャンスはあると考えていました。結局、彼が逃げたけど、自分の馬は2000mでも大丈夫なので、あまり遅くなるようなら主導権を握ってやろうと思っていました。レースプラン通りに運べて、ボス(C・ファウンズ調教師)の馬で勝てたのは嬉しかったで」─そして先述のゴールデンシックスティーでも、香港マイル(G1)やチャンピオンズマイル(G1)などを総なめにしました。 「国際レースを勝ってくれたのは、自分の騎手人生にも大きな影響がありました。天狗にならないように謙虚にして、感謝を込めて厩舎でブラッシングやボロ拾いもしました」ラヴズオンリーユーのクイーンエリザベスⅡ世カップ(G1、以下QEⅡ)もこのシーズンでした。 「コロナ禍で騎手の遠征が制限されたことで回ってきたのですが、依頼をいただいた時は本当に嬉しかったです。QEⅡは勝ちたいレースの1つだったので、ハッピーでした」短期免許でのJRA参戦は、いつから考えていた?October 2022 vol.249162019年シャーガーCでモッセ騎手と」─56勝。ホーホーカーンやライズハイで──────────すた───Jockey's File─Interview with Chak Yiu Ho
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