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2019年に200頭を超える種付頭数を誇った種牡馬は9頭いた。ロードカナロアとルーラーシップがトップ2を占め、キングカメハメハ系種牡馬の人気が高かった。しかし、2020年は4年ぶりにキズナが242頭との交配で最多頭数を記録。エピファネイアが240頭で2位に入り、この年の200頭超は2頭のみ。ディープインパクトとキングカメハメハ亡き後の種牡馬事情は、新たなステージへと進んだ。サンデーサイレンス亡き後、次世代のリーディングサイアーはコロコロと変わった。セレクトセールの状況を見ても、混沌とするほど、どの馬にもチャンスがあると見て、購買意欲が沸く。近年の動向も、同じような動きと考えるべきで、チャンスがあると見る種牡馬は、産駒頭数の多い種牡馬と考えるのが自然だろう。この世代で考えれば、上述した通り、キズナとエピファネイアの産駒からチョイスするのが良い。エピファネイアは、今年の国内種付料No.1となったことで、人気を集める可能性は高い。キズナは、安定感もあり、落ち着いた人気の種牡馬なので、募集馬から選ぶ際も、お得な印象を受ける。最も注目されるのは、やはりシンハリーズの21だろう。ディープインパクト産駒から、オークス馬のシンハライトが誕生。ディープ産駒のダービー馬と、シンハリーズのカップリングは楽しみだ。ザディープインパクトとの配合でアルーシャとプライドランドを輩出した。ディープ系種牡馬との配合は初だが、ストームキャットが加わるキズナとの配合は、瞬発力とパワーをマッチした馬に育つ可能性を感じる。オニキスの21に注目。サンデーサイレンス4×3の黄金配合。母の母の父は、英ダービー馬ジェネラスで、この血が妙。ジェネラスは、種牡馬としては期待を裏切る形となったが、数少ないG1馬に、サトノオニキスの母・ミスティックリップスがいる。母の父として、ガルボやアドマイヤスバルなどがいて、欧州トップホースの底力を秘める。以来となるアメリカ年度代表馬の本邦繋養となったブリックスアンドモルタルに期待を寄せる。セレクションセールで最高価格が記録され、セレクトセールでも高額取引馬が多数出るなど、世間の人気も高い。ステラヴェローチェの半弟にあたるオーマイベイビー軟性と、均整の取れた馬体が産駒の特徴で、オーマイベイビーの21には兄以上の活躍を期待したい。ズーの21は、母がG1・2勝馬で、エピファネイア産駒からは、サトノ新種牡馬では、サンデーサイレンスの21に注目する。同種牡馬は動きの柔YEARLING STABLE Review」相馬眼はないが、取材力はある(と思っている)筆者。今年もこの特集の依頼を受けて、この会報におけるた人脈を活かすのはここしかない!と思い立ち、早速、連絡を取ってみたところ、主任や厩舎長の方々から特選情報をいただいた。ブルーメンブラットの21(牡、父モーリス)はトモや肩がパンとした大型馬でありながら、バランスが良く、見た目以上に素軽い動きを見せている。ロンギ場での動きも大型馬とは思えないような、スピード能力の高さを感じさせているという。特筆したいのはその性格で、放牧地では親分肌で、ブルーメンブラットの21が近寄っていくと、周りの馬が道を開けていくとのこと(笑)。レースでも馬群を割りながら、突き抜けていくような走りを期待したくなる。リラヴァティの21(牡、父ロードカナロア)は、スラっとした体型をしており、馬体の美しさも目を引いている。放牧地の動きは手先も軽く、切れのあるスピード馬にも見えるが、体幹もしっかりしており、パワーもしっかりと兼ね備えていると言えそうだ。勝気な性格をしていながらも、精神面での成長が著しいとのことであり、G1といった大舞台でこそ、真価が発揮されるに違いない。で培っプルメリアスターの21(牡、父ハービンジャー)は、馬体のバランスに秀でているだけでなく、ムダ肉も付きにくいと思えるほどの新陳代謝の良さが、皮膚感の良さにも表れている。ハービンジャー産駒特有と言えるトモの緩さはあるが、これも許容範囲。放牧地の動きはストライドも大きく、常にダイナミックな動きを見せている。馬同士では喧嘩の常連とのことで、かなり気は強いが、馴致では納得したことに対しては素直に受け入れている。同じハービンジャー産駒のディアドラと、顔がよく似ているとの声も聞かれているのは、この馬にもG1級の表情が垣間見えたからに違いない。サンブルエミューズの21(メス、父エピファネイア)は、馬体のサイズは小柄に映るも、バランスが抜群で、筋肉の柔軟さも高い評価を受けている。この成長過程は、半姉のナミュールの同じ時期とイメージが重なるとの声も聞かれた。放牧地の動きも抜群で、芝のスピード馬として大成する姿を、この時点から想像させている。ピリッとした部分は、姉同様に反応の良さとなっていきそうだ。ジンジャーパンチの21(牡、父スワ―ヴリチャード)は、今年の大阪杯を制したポタジェの半弟。筋肉量が豊富かつ、低重心で体幹の強い動きは力強さに溢れている。厩舎長からも将来を嘱望する声が聞こえてきた。●古谷剛彦●村本浩平51    「        

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