22年募集1歳馬の中でただ1頭、海外供用種牡馬の産駒となるのがキャントバイミーラヴの21だ。父は、愛国のクールモアスタッドで供用されているノーネイネヴァーである。スキャットダディの直仔となるノーネイネヴァーは、米国を拠点に現役生活を送り、2歳夏に仏国に遠征して制したG1モルニー賞(芝1200m)を含めて、いずれも距離6F以下の芝の重賞を3勝。仕上がりの早さと、傑出したスピードを特長とした馬であった。 6F)を含めて2つのG1を制したテンソヴリンズ、同じく2歳秋に制したG1チーヴァリーパークS(芝6F)を含めて4つのG1を制しているアルコールフリーなどを送り出している。今年の欧州における2歳世代はさらに好調で、7月16日にカラで行われたG3アングルシーS(芝6F)を4・3/4馬身差で制し、来春の2000ギニーへ向けた前売りで1番人気に浮上したリトルビッグベアをはじめ、既(7月29日現在)。たのが当募集馬で、その後、母にはノーネイネヴァーと同じ短距離系のブルーポイントが交配されている。初仔である本馬のデキが良かったからこそ、短距離系との相性が良いとの判断が下されたものと推察される。の産駒も含まれている。決定戦であるG1BCジュヴェナイル(d8・5F)の勝ち馬が、ニューイヤーズデイだ。14年にケンタッキーで種牡馬入りし、2年目の産駒から、19年の全米最優秀3歳牡馬で、20年の第1回産駒にもこの特性が伝わり、2歳秋に制したG1ミドルパークS(芝に4頭の重賞勝ち馬を送り出している母の初仔として21年に愛国で生まれ今年の募集馬には、輸入種牡馬3頭北米における2歳牡馬チャンピオンサウジC(d1800m)を快勝したマキシマムセキュリティを送り出している。これだけ見ればコテコテのダート血脈に見えるが、ニューイヤーズデイの父ストリートクライは、豪州で芝のG1・母の父としてのストリートクライも、フクラシック(芝9F)など芝のG1を3勝したドメスティックスペンディング、22年春に香港のG1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)を制したロマンティックウォリアーらを送り出しており、芝適性も内包した血脈と言えよう。父ニューイヤーズデイの募集馬6頭はいずれも、母方にサンデーサイレンスの血を有しており、この中には、芝で本領を発揮する馬もいそうである。る肩書を持つのが、ブリックスアンドモルタルだ。その年、同馬は6戦しG1ターフクラシック(芝9F)、G1BCターフ(芝12F)など5つのG1を含む無敗の6連勝をマーク。芝中距離路線の絶対王者として君臨した。21年のセレクトセール当歳部門に上場された7頭の初年度産駒が、平均価格5414万円で完売となり、22年のセレクトセールでも母アウェイクの2022が当歳部門2番目の高値となる3億1千万円で購買されるなど、産駒の出来の良さは既にマーケットが実証済みだ。ブリックスアンドモルタルの父は、日本の競馬との相性も良いジャイアンツコーズウェイで、その父はディープインパクトと抜群の融合性を発揮しているストームキャットだ。すなわち、母方にディープインパクトを持つオーマイベイビーの21やラプソディーアの21は、「ディープキャット」のニックスを持っているわけで、配合的にも注目の募集馬と言えよう。 3歳12月にサンタアニタのG1マリブS(d7F)、4歳3月と5歳3月にメイダンのG1ドバイゴールデンシャヒーン(d1200m)を制しているのが、マインドユアビスケッツだ。中でも強烈だったのが、連覇を果たした18年のドバイゴールデンシャヒーンで、道中最後方から直線一気の末脚を繰り出し、トラックレコードを樹立して優勝。この馬が持っていた驚くべき「瞬発力」は、日本の競馬において不可欠の形質であることは言うまでもなく、日本向きの種牡馬であることは間違いない。5歳8月にはG1ホイットニーS(d9F)で2着となっているように、一介のスプリンターだったわけではなく、距離をこなす産駒も出るはずだ。また、ダート短距離G1・3勝という、本馬と似たプロフィールのドレフォンが、初年度産駒から皐月賞馬ジオグリフを送り出したように、マインドユアビスケッツの産駒から、芝で父譲りの瞬発力を発揮する馬が出ても、驚くには値しない。(合田直弘)─ ニューイヤーズデイ 愛国・クールモアスタッド繋養─ノーネイネヴァー─社台スタリオンステーション繋養ブリックスアンドモルタル マインドユアビスケッツ─4119年の全米年度代表馬という堂々た20年から21年にかけて北米でG1ター25勝の歴史的名牝ウインクスを輩出。社台スタリオンステーション 三輪圭祐─本募集で産駒がラインアップ─海外供用種牡馬─本募集世代が初年度産駒─国内供用種牡馬ノーネイネヴァー/ニューイヤーズデイ/ブリックスアンドモルタル/マインドユアビスケッツ合田直弘スワーヴリチャード/レイデオロアルアイン/シュヴァルグランブリーダーズ・スタリオン・ステーション 遠藤幹Review of Stallions
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