ECLIPSE_202209_39-52
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優先対象馬を若干上回る傾向が確認できます。たとえば、最近10世代の中央募集馬成績で比較してみると、勝ち上がり率において約6%ポイント、重賞馬率でも0・9%ポイントほど、母馬優先対象馬が非対象馬を上回っています。万能にも見える母馬優先枠ですが、あえて難をあげれば、実際にその恩恵を享受するまでには長い年月がかかります。たとえば、先ほどの表でもレイデオロをはじめ母が8歳と比較的若年時の産駒が3頭いましたが、それでも母に出資してからその仔に出資するまでには、8年の歳月がかかっています。また、母14歳時の産駒も3頭いましたが、この場合などは14年後(!)です。 「桃栗三年柿八年」ということわざがありますが、母馬優先の果実は、果樹よりもさらに長い目で種を撒いていくことになります。見方を変えれば、それだけ長い期間楽しめるということでもありますが、結果が出るまでの期間が長い分、撒く種も慎重に吟味する必要があると言えるでしょう。そもそも、当然ながら牝馬に出資すれば、必ずその仔が募集されるという保証はありません。は、募集牝馬のうち、後に母としてクラブに産駒が出てきた割合は約28%でした。4分の1強ということで、極端に低い確率ではないものの、やはり決して広き門ではありません。の産駒が母馬優先対象として募集されるまでには、次のようなハードルを乗り越える必要があります。権を行使できるわけですが、残念ながら出資時にはいずれも知る術がありません。2の産駒が無事とれるかどうかなどは、まさに神のみぞ知るです。がクラブで募集されやすい」傾向をなにか見出すことはできないでしょうか。データを探ってみたところ、もっとも分かりやすい指標として、「募集価格」が浮上しました。産駒がクラブで募集された割合をまと後ほど説明する今回の調査対象で基本的に、牝馬に出資してから、そ 1) 競走馬引退後、ノーザンファーム(もしくは系列牧場)で繁殖に上がること 2)無事に産駒が産まれること 3) 産まれた仔がキャロットクラブで募集されることこの3点を満たして晴れて母馬優先それでも、出資時の情報から「産駒以下は、牝馬の募集価格別に、そのめたグラフです。先述のように、この制度は長いスパンで見る必要があるため、母馬は2008年産から2012年産と、10年ほど前の募集馬5世代を調査対象としました。見ての通り、産駒が募集される可能性は、募集時の価格によって明暗がくっきりとわかれる結果となっています。1000万円台が最も低く約10%。         0    上がります。それ以上の価格帯では上2000万円台になると40%を超え、さらに3000万円台は約80%に跳ねがっていませんので、当時の募集価格水準では3000万円以上であれば高確率であったと言えます。さらに、ここから当時と今の募集価格水準差を考慮すると、現在は4000万円以上あたりからが「高確率ゾーン」になると想定されます。このように競走成績以上にはっきりとした差が生じる理由としては、端的に高額馬の方が血統背景が良いからと言えるでしょう。こうした馬は、たとえ競走馬としては活躍できなくとも、ノーザンファームで繁殖に上がる可能性は高い傾向にあります。逆に、低価格帯の牝馬の場合には優れた競走成績や、牝系の勢いなどが必要と言えます。実は先ほど見た上位10頭の母のうち、シーザリオ、クリソプレーズ、ケイティーズハートの3頭は1000万円台の募集価格でしたが、シーザリオは別格としても、他の2頭もいずれも条件馬ながら、現役時代3勝を挙げていました。◆◆◆あらためてデータを見ていくと、キャロットクラブにおける「母馬優先カード」の強さが目に付きました。今回、産駒が無事募集されるかどうかのわかりやすい傾向も確認できましたので、将来の母馬優先権を増やすための一つの参考になれば幸いです。産駒がクラブ募集される可能性434000万円以上3000万円台2000万円台1000万円台102030405060708090100(%)(母馬■■■■年〜■■■■年産 中央募集馬/一口馬主DB調べ)母馬の募集時価格帯別 産駒が募集される確率

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