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調教シーンにも幅広く普及現在はどんなラインナップがあるのか、松本恒典課長に聞きました。 「レース鞍の表面素材は人工皮革。大きく分けて、アメリカンタイプ、ソフトレーシングサドル、NSレーシングサドルの3タイプがあり、重さや形によって使う方に選んでいただいています。武騎手に使っていただいているのはアメリカンタイプですね(写真⑥)。なお、一番小さいのがアメリカンタイプのウルトラライトで190gしかありません。こちらは受注生産で製作しています。そして、ソフトレーシングサドルは乗馬鞍に近い感じ。脚との接触を防ぐ〝小あおり〟がついていて、アメリカンタイプより重いです(写真⑦)。また、NSレーシングサドルはソフトレーシングサドルを改良したもの。クッション性を持たせて、お尻が痛くない仕様となっています」用するJRAの騎手のうち、6〜7割がアメリカンタイプとのこと。鞍の色を変えたり、イニシャルを入れるなどは特注となるそうです。 「横山武史騎手にもデビュー時から使っていただいており、鞍や腹帯などの馬具をワイン色に統一してお作りしているんですよ(写真⑧)」現在、ソメスサドルのレース鞍を使横山武史騎手に伺ったところ、「憧れているクリスチャン・デムーロ騎手がワイン色の鞍を使っていたから、同じ色にしました。ソメスサドルさんはこちらの要望に応えて下さるので助かっています」とお話されていました。ワイン色の鞍も、本当に素敵ですよね。近年では、海外でも愛用者が増えているソメスサドルのレース鞍。昨年の凱旋門賞を勝ったドイツのトルカータータッソに騎乗していたピーヒュレク騎手が使用していた鞍も、ソメスサドル製。日本で騎乗経験のあるミナリク騎手が怪我で引退する際に、譲り受けたそうです。松本課長はこう語ります。 「世界最高峰の凱旋門賞というレースで自分たちの鞍を使っていただき、それも勝ったと知った時、本当に感動しました。と同時に、身が引き締まる思いです。今後は、ますます信頼性の高い製品を作っていかないといけないですね。最近は海外からの問い合わせも増えてきました。可能であれば、販路を広げていきたいと考えています」レース鞍と並び、競馬関係者に愛用されているのが調教鞍です。国内全体でのシェアは6〜7割だそうですが、驚くのはトレセンでの普及率。トレセンでは8〜9割くらいの厩舎で、ソメスサドル社製のものが使われているとのこと。調教鞍についても、松本課長に伺いました。 「調教鞍の素材は牛革です。一つの鞍を作るのに使う革の量は、一頭の牛の4分の1くらい。伸びやすい首やお腹部分の革を使うと変形してしまうので、そういうところの革は避けて、丈夫な部分のみを使用。修理の利便性にもこだわって、お作りしています」どんな種類があるのでしょうか。 「ハーフツリーサドルと調教鞍の2種類です。調教鞍は昔から作っている古いタイプで、中央競馬ではほとんど使われていないですね。現在のメインは、ハーフツリーサドルになります」このハーフツリーサドルには、ある特徴があります。写真⑥ 武豊騎手のレース鞍(アメリカンタイプ)写真⑦ ソフトレーシングサドル写真⑧ 横山武史騎手のレース鞍(アメリカンタイプ)11      

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