武豊モデルから、まずはすべての馬具において安全第一で素材を選び、それが確保できた中でデザインを追求しています」スタッフは約₇₀名(写真④⑤)。馬具はハンドメイドで製作されています。 「特に鞍は作るのが難しいため、弊社でも鞍職人は4名しかおりません。鞍には騎手が乗るレース鞍、調教で使う調教鞍、乗馬で使用する乗馬鞍がありますが、作るのが一番難しいのが乗馬鞍です。一番、革の量を使いますし、繊細な技術が求められるんです。乗馬鞍を最後まで組み立てられる職人は、現在2名のみ。乗馬鞍を作れるようになるには、₂₀年近くを要しますね」つとなるのが、日本の騎手の約7割が使用しているというレース鞍。その開発の経緯には、日本ジョッキー界のレジェンドが関係しています。経緯を知る染谷昇会長にお話を伺いました。 「武豊騎手が白井の競馬学校に在学していた頃、私は仕事でよく競馬学校に行っていたんですね。当時、面識はありませんでしたが、校内のコースで武騎手が実習する姿は、非凡なものがあったと言いましょうか、存在感が際立っていました。プロになったら、ぜ北海道砂川市にある本社工場で働く約₃₀個のパーツを組み合わせるため、ソメスサドルの馬具の中で主力の一ひうちの鞍を使っていただきたいと思っていたんです。それで、武騎手がデビューした後に栗東トレセンまで行って、お話させていただきました」当時はソメスサドルがレース鞍を改良している頃で、その転換期にも重なったと、染谷会長は振り返ります。 「鞍の中で大事とされる鞍骨は元々が木で、騎手が座る部分は革でした。レース鞍は安全性が第一。また斤量に影響するので軽さも求められますし、雨にも対応できなければなりません。そこで、全天候型に対応できるFRP(繊維強化プラスチック)で作ることになり、クラリーノという人工皮革を採用。武騎手に試していただきました」武騎手はあるインタビューでソメスサドルの鞍についてこう語っています。 「デビュー5、6年目の頃だったかな。ソメスという日本の皮革メーカーさんと何回も何回も打ち合わせを繰り返して、納得のいく鞍を作り上げてもらいました。サイズや重さはいろいろありますが、今ソメスで一般的に売られているものは、言ってみれば武豊モデルです。なにも不満がないので、そこから₂₇〜₂₈年は変わってないです。変える必要がないんですよね」(2022年5月1日公開、 「この記事は私も拝読しました。光栄の極みですね。武豊モデルが弊社のレースサドルの定番となり、今では多くの騎手に使っていただいています」武豊騎手が使っている鞍を含めて、Number Webより引用)写真③ 今上天皇即位の大礼に伴い馬車具一式を納入写真⑤砂川ファクトリーAugust 2022 vol.24710写真② 洞爺湖サミットにて記念品として各国首脳に贈られたダレスバッグとハンドバッグ 「馬具は道具という側面があります写真④ 北海道砂川市にある本社工場 ホースマンを支えるソメスサドルの馬具と技術
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