ECLIPSE_202208_5-7
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セリ開始は午前10時。合田直弘氏の司会で日本競走馬協会会長代行・吉田照哉氏があいさつに立つ。購買者席はまだほとんど空席のままである。だが、時計通りに粛々とスケジュールは進む。定刻が来る。いよいよ今年もセレクトセールが始まった。上場番号1番は「サマーハの2021」。父リアルスティールの牡馬。半兄にシャケトラのいる牡馬だ。5000万円からセリがスタートし、瞬く間に価格が急上昇していく。1000万円単位でどんどん競り上がって、いとも簡単に1億円を突破した。その後も勢いは衰えることなく、数字が増えていく。終わってみれば、いきなり1億8000万円の落札価格であった。そういえば…と、昨年のことを思い出した。昨年のセレクトセール1歳でも、やはり上場番号1番は億を軽く超えていた。いや昨年だけではない。一昨年も、その前の年もずっと、このところ最初の馬はミリオンホースなのである。調べてみると、2018年からこれで5年間、連続しているのだ。それで勢いがついた、というわけでは決してない。その後も、出て来る馬のほとんどが次々に落札されていく。しかも高額馬が多い。前半の100番までで、1億円超の落札馬は計18頭に達した。この時点で欠場が5頭だから実質95頭の上場頭数だが、主取はそのうちわずか2頭のみであった。幾分落ち着いてきた印象だが、それでも、これぞという上場馬は間違いなく価格が高騰する。ややペースが落ちたものの、その後も1億円超えの落札馬が続出し、初日だけで25頭のミリオンホースが出た。キャロットクラブもこの日、計6頭を落札した。後ほど改めて触れるが、この6頭は全てノーザンファームの飼養管理馬だ。222頭128億7000万円(税抜き、以下同)を売り上げて、史上最高を記録した昨年の数字をさらに大きく上回る結果となった。売却率95・3%も過去最高記録である。2021(父モーリス 4億5000万円。ノーザンファーム生産馬で落札者は㈱ダノックス。母モシーンは豪州8勝(うちG1を4勝)の名牝で、本馬の半姉プリモシーンは東京新聞杯など3重賞を制している。時をかなり回っていた。8時より「一斉展示」で幕を開けた。総勢236組の親子ペア(中には早々と離乳し、健気に1頭だけの当歳馬もいた)が、展示場にズラリと並ぶ光景は、まさしく圧巻である。り過ぎてしまったことを受け、航空機100番を過ぎたあたりから相場は終わってみれば初日は、233頭中初日の最高価格馬は76番モシーンの牡・鹿毛)の初日、全てが終了した時には午後8 2日目の当歳馬は、例のごとく午前前日の1歳馬が予定時刻よりもかな便にも配慮した結果、当歳馬は開始時刻を30分早め、9時半からのセリに変更された。 2日目になっても、当セールの勢いは堅調で、またしても億超えの落札馬が続々と現れた。昨年夏にこの世を去ったドゥラメンテ産駒の393番シャンパンエニワンの2022(牡・鹿毛)3億2000万円(落札者・レッドホース)を筆頭に、3億円超え4頭を含む計28頭がミリオンホースとなっれ、た。これまで2日目の当歳馬は1歳馬よりも幾分数字が落ちるのが通例であったが、今年は違った。上場頭数236頭のうち225頭が落札されて、売却率は1歳と同じ95・3%、総額も1歳馬を上回る128億9250万円となり、2日257億6250万円。史上最高の成績に沸いた昨年の総売り上げを、さらに約32億円も上回る驚異的な数字を叩き出した。1998年の第1回には総額50億円に届かなかったセレクトセールが、24年後の今年、5倍強の売り上げにまで急成長を遂げたわけである。 2日間の結果を総括して吉田照哉氏は「もうこれは究極の成績と言って良いですね。昨年の通算売却率92・6%から2・7%上昇しましたけど、この差はかなり大きいと思います」と振り返り、「日本の馬が海外で活躍していることもあり、この5年、10年で確実に繁殖牝馬のレベルも調教技術も進歩しましたからね」と語った。今年もセレクトセールの主役を務めたのはノーザンファーム生産馬だが、日高産馬とて負けていない。今秋、凱旋門賞に向かう予定のタイトルホルダー(上場者・岡田スタッド、2000万円)や、一昨年の牝馬3冠馬デアリングタクト(同長谷川牧場、1200万円)はともに、当セール出身馬である。こうした比較的廉価な落札馬の中からも、時として激走馬が出現する。どの価格帯にもこんな〝原石〟が転がっているのが、セレクトセール最大の魅力と言って差し支えあるまい。ここで当クラブの落札した6頭について触れておく。上場順に列記していくと、42番インクルードベティの2021(牡、父ハーツクライ)5000万円、100番アイヴィベルの2021(牡、父レイデオロ)3000万円、122番ジョプリンの2021(牝、父ロードカナロア)2500万円、158番ギーニョの2021(牡、父レイデオロ)4000万円、167番マンビアの2021(牝、父キズナ)2000万円、238番チアズメッセージの2021(牡、父ニューイヤーズデイ)2000万円。このうち100番アイヴィベルと122番ジョプリンの2頭が㈱レイクヴィラファーム生産で、残り4頭はノーザンファームの生産だ。 42番インクルードベティの2021速報Report       が落札さ総額間の合計は実に     6August 2022 vol.247セレクトセール2022─25回目を迎えたセレクトセール─

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