芝コースの1周距離は1615・1m(Aコース)。これは福島競馬場に次ぐ小ささで、いわゆる小回りコース。直線は293m(Aコース)あり、高低差は3m。ゴールから1コーナーにかけて上り勾配があり、2コーナーから向正面960m地点にかけて緩やかな下り勾配。そこからは180m間は平坦が続き、3コーナー付近にわずかな上り勾配。その後、4コーナー400m地点までは下り勾配。そして、ゴールまでの400mは平坦となっている(写真①)。3〜4コーナーが下り勾配で、かつ、この部分にはスパイラルカーブが導入され、減速せずに曲がれるため、基本的には先行系の勝率が高い。特に芝1200m戦はほぼ下り勾配と平坦のコース形状になるため、スピードタイプの活躍が目立つ。例年、冬と夏に競馬が行われている小倉競馬場。基本的に、芝コースは開催後半になってもそれほど荒れず、良好な状態を保ちやすい。それは各開催の前に、芝の養生期間を十分に取れることが影響している。小倉では冬開催が終わった後(例年は3月初旬)に、芝の張替作業を行っているが、夏開催まで数ヵ月間あるため、張った芝がしっかり根付いていく。そして7月に入ると、気温が₃₀度を超える日が出てくるので、真夏の日差しを受けて野芝が生長。小倉は野芝の生育時期にも合致している競馬場なのである。年の冬開催まで、また数ヵ月間空く。この間に芝の更新作業を行うことで、夏開催時にできた傷みは回復していく。かつ、秋にオーバーシードした洋芝(イタリアンライグラス)が生長した状態で冬開催を迎えるため、1回開催も状態が良いというわけである。進んだことで、芝事情は良化している。エクイターフとは、丈夫で傷みにくい特徴を持つ野芝。JRAでは2006年から、野芝を使用する競馬場へ、徐々にこの芝を導入してきた。小倉へ最初に入ったのは、2011年の夏開催。その後、少しずつ面積を増やし、現在では3〜4コーナーの内側走路部と正そして、夏開催が終わってから次のまた、近年はエクイターフの導入が面直線の全幅員は、エクイターフとなっている。また、小倉の芝コースにはコース全周路盤に₁₀mピッチで暗渠排水材が入っており、排水性が良い。小倉では特に夏はスコールが降るなど、雨が多いが比較的、馬場の回復は早い。では、7月2日から始まる夏の小倉開催の芝は、どんな状態になっているのだろう。小倉競馬場施設整備課、長野照幸担当課長に聞いた。 「第2回小倉競馬終了後、傷みの大きかった馬場全周の内側を中心に、約21000㎡の芝の張替を行いました(写真②)。夏開催は野芝のみで施行。現在のところ例年よりも雨が少なく日照時間が長いため、芝の生育は順調。先行系が活躍しやすい小回りコース年間を通し良好な状態を保ちやすいう~小倉競馬場編~July 2022 vol.24624©JRA写真②正面直線は₁₅m程度の張替を実施(2022年4月₁₉日撮影)写真①芝コースの直線は平坦。距離は293m(Aコース)
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