ECLIPSE_202205_9-13
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の時が1番体重も増えて、ふっくらしていて状態も非常に良かったのに、それでも勝つことができなかった」中2週のローテーションでもう一度、小倉へ。今度はダートの桜島Sへ向かいます。以前からマルシュロレーヌのダート適性を感じていた岡勇策調教助手が「ダートに行くならここです」と進言。矢作師の決断もありました。「条件は良い状態の時に変えなきゃダメ。芝からダート、ダートから芝へ、といった条件の変更は、成績が出ていないからといった理由で行われるけど、それだけでは失敗するケースが大多数。マルシュは成績が出ていないわけじゃないけど変えた。状態も良かった。条件変わりを成功させる秘訣は、そこ。うちの厩舎でいえば、ハナズレジェンドやモズアスコット(どちらもダート変わりの初戦で勝利)などがその例。逆に、成績が出ていなくて状態も今ひとつのまま変えて、失敗したこともある」ヌの桜島Sはうまくタイミングが合ったといえるでしょう。矢作師も「ダートを使うことには、不安よりも楽しみしかなかった」と振り返ります。大きなターニングポイントとなった、このレース。スローペースで前残りの中、ただ1頭鋭く伸びたマルシュロレーヌは驚きの末脚を見せて快勝します。良馬場のダート1700mで1分43秒7、上がり3ハロンが35秒0。 「〝ダートであれほどの脚を使う馬がいるんだ!〟と思うくらい、本当に強い競馬だった。このとき、牝馬の交流重賞を勝ちまくるのではないかと思った」。岡助手も「走りを見て、ほっとした。ダートが良いと言ったのは、間違いじゃなかった」と話します。道エリアからレースを見ていましたが、あの豪脚に衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。ら後悔も募らせていました。「周りは〝よくあそこでダートを使ったね、あの決断はすごかった〟と褒めてくれるけれど、あの走りを見る限り失敗したその点を考えると、マルシュロレー筆者は、このとき競馬中継のため報ただ、矢作師はそのダートの走りかな。使うのが遅かった」その後、大井のレディスプレリュー         し、次走のJBCレディスクラシックドを完勝し、交流重賞を初制覇。しかは3着。「寒くなるにつれて、状態が落ちていく馬。それでも勝てるかと思って出したんだけれど…牝馬同士のダートで負けるとは思ってもみなかった」年明けのTCK女王盃も状態は戻りきっておらず、さらに軽い馬場が向いているマルシュロレーヌにとって不安要素の多いレースでもありましたが、それでも勝利。もう一段、力をつけていると感じたようです。印象的だったのは、その次のエンプレス杯だと語ります。「サルサディオーネが逃げるレースを、後方からまくり気味に差して突き放した。このときも前走同様、決して良い状態だったとはいえないにもかかわらず勝った。底力以外の何ものでもない。力が違った」夏に比べるとかなり状態が落ちていた中で2連勝したこともあり、自信を持って挑んだという平安S。前走よりもプラス15キロと馬体も戻っていましたが、オーヴェルニュに大きく引き離され3着。その後、帝王賞は4コーナーで見せ場があったものの8着に終わりました。 「暖かくなってきたことで状態も上向くという計算もあり、勝ってほしいという気持ちが強かったけど…やはり牡馬相手だと、この程度なんだ」と落胆したといいます。矢作師はエンプレス杯から平安Sに向かう前に、ブリーダーズカップディスタフに挑戦する構想を立てていました。「平安Sか帝王賞のどちらかは勝つと思っていたし、あわよくば両方勝てるのではないかと期待していた。そうすれば、オーナーサイドにもこの構想を言いやすくなる」。しかし、現実は2戦とも勝利を手にすることができませんでした。その後は北海道で立て直し、ブリーダーズゴールドカップへ向かいます。「このときは状態が上がってきていて、本当に良いと感じた。この馬の理想はこのくらいの体なんだと思った」May 2022 vol.24410初勝利を収めた2019年8月10日小倉競馬 3歳未勝利転機となったダート初戦 2020年9月5日 桜島Sマルシュロレーヌを語り、マルシュロレーヌに学ぶ─引退に寄せて矢作師が振り返る本馬との歩み─

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