が、全出走の馬体重を平均すると初仔ミッキーブラックは479㎏、2番仔レシステンシアは495㎏(※海外を除く)、3番仔グラティアスは496㎏、4番仔スパイダーバローズは480㎏と、日本の種牡馬の助けも借りて、恵まれた馬体の仔を輩出している。た。しかし、彼女に携わった人々は、決して彼女のことを忘れていない。ネルソン・セプルベダ氏は次のように喜びを語った。 「ブエノスアイレスのエセイサ国際空港で、マラコスタムブラダを見送ってからもう何年も経ちますが、また会える日を楽しみにしています。彼女の子供たちのことは、常にチェックしています。レシステンシアは、神からの贈り物です。私が売買に携わった馬やその子供が勝利するたびに、自分がとてつもなく幸せな男だと思います。自分の仕事が実を結び、これ以上ないくらいの満足感を覚えます。いつか日本を訪れて、彼女たちにキスをしたいです」ベネディクト氏も、日本の競馬ファンに向けてメッセージをくれた。 「マラコスタムブラダの日本での活躍は、本当に感動的なことです。彼女に関するニュースを耳にするたびに、私たちは誇らしい気持ちでいっぱいになります。情熱を込めて育てた馬が、世界に飛び出してこのような成功をおマラコスタムブラダは母国を去っまた、ラ・パシオン牧場のニコラス・さめるなんて、心が満たされます。2021年、マラコスタムブラダの全妹が日本に行きました。マラコストゥンブレという馬です。姉に似ていますが、妹のほうが馬格があるので、間違いなく良いお母さんになれるでしょう。本当は、売りたくなかったんですけどね(笑)。マプルウェルズはすでに高齢で、うちの牧場で彼女の後継者になれるのはマラコストゥンブレだけでしたから。でも、昨年10月にマプルウェルズがマラコンセヘーラという牝馬を産んでくれたので、助かりました」レシステンシアの活躍を喜んでいるのは、日本人だけではない。喜びが、誇りが、感動が、母の故郷アルゼンチンにもしかと届いている。レシステンシアが走るとき、そして、将来レシステンシアが母となって彼女の産駒が競馬場に姿を現すとき、地球の反対側から彼女を見守っている情熱(スペイン語で「パシオン(Pasion)」)を持ったホースマンたちのことも思い出してほしい。レシステンシアだけでなく、ディア デラノビアの母ポトリザリス、ピオネロやクルミナルの母クルソラなどと、キャロットクラブとアルゼンチン血統の繋がりは深い。アルゼンチン競馬について会員の皆様にさらに深く知ってもらうべく、次号では後編として『レシステンシアのルーツ─アルゼンチンの競馬・馬産事情─』をお届けする。19ラ・パシオン牧場(正門)Writer profile 木下 昂也 Koya Kinoshita1991年生まれ、東京都出身。東京外国語大学スペイン語専攻卒業。ヘヴンリーロマンスが勝った天皇賞をきっかけに競馬にのめり込む。スペイン・マドリード在住中にスペイン競馬と南米競馬の魅力を知る。全国通訳案内士(スペイン語)だけでなく、世界遺産検定認定講師、日本語教師などの資格も持つ。ラ・パシオン牧場(上空写真)2021年日本へ輸出された全妹マラコストゥンブレ(提供:Nicolás Benedicto)
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