ECLIPSE_202201
4/20

とがもうひとつの理由だった。₁₀月₂₂日に、米国へと飛び立つ。デルマー競馬場で行われるブリーダーズCに狙いを定めたのも理由があってのものだ。舞台となるデルマー競馬場はカリフォルニア州、つまりアメリカ西海岸に位置する。直行便があるロサンゼルスからは陸路で、馬運車でも2〜3時間ほどで、輸送に関して言えば、美浦から小倉や、栗東から札幌ともそれほど差はない。逆にヨーロッパ勢や、アメリカ東海岸勢からすれば輸送距離・時間が長くなるため、マイナス面が大きい。これが東海岸や、ケンタッキー州などの中東部となるとこうもいかない。絶妙なタイミングでのデルマーでの開催でもあった。ルマー競馬場のパドックで枠順抽選会が行われた。抽選会といっても、コンピューターが自動的に枠順を割り当てていくもので、マルシュロレーヌは₁₁頭立ての₁₀番枠となった。先行有利・内枠有利なコースであるため、普通なら悲観的になりそうな枠だったが、 「もともと前半に速い馬ではないし、何がなんでも行かなければいけないわけでもないので、変に外からかぶされて砂のキックバックを受けるよりは、この枠の方がいい」めていた。かった。目下4つのG1を含む5連勝中。4月にはこのレース2勝のモノモイガールを破っている。2番人気の3歳馬マラサートは、今年のケンタッキーオークタマ差の2着というもので、全く底を見せていない。シーデアズザデビルは昨年のケンタッキーオークスで、後にプリークネスSを制するスイススカイダイバーを下している。今年も5戦4勝と絶好調だ。単勝オッズは約₅₀倍で、人気下位3頭はほぼ同列の扱いであった。いていた。ディスタフに先立って行われたフィリーアンドメアターフで、ラレース週の月曜日₁₁月1日には、デ矢作調教師はむしろ好意的に受け止ただ、相手は決して軽い部類ではな断然人気を集めたレトルースカは、これらに対して、マルシュロレーヌは9番人気。人気では下に2頭いたが、しかし、この日は矢作厩舎に風が吹ヴズオンリーユーが日本調教馬として初めて、ブリーダーズCで勝利を挙げていた。もとより、週中からも矢作調教師は、ドバイ、香港、オーストラリアでG1を勝っている日本の調教師として衆目の関心を集めており、フィリーアンドメアターフでの勝利で、観衆を完全に味方につけていた。最内の枠順を利してプライベートミッションが先手を主張し、レトルースカが2番手からぴったりと追走、さらにシーデアズザデビルとアズタイムゴーズバイがこれらを追いかけて、4頭が先行集団を形成する。マルシュロレーヌはひとつ外のダンバーロードを前に行かせて、9番手を慌てずに追走した。これは当初通りのプランで、鞍上のオイシン・マーフィー騎手も 「イメージ通りにゆったりと追走できた」と話す。先行勢はいずれも一歩も引かず、半ば意地の張り合いのように快調に飛ばす。半マイル通過は₄₄秒₉₇というアナウンスに、場内がどよめく。先手必勝が定石とはいえ、これはいくらなんでも速すぎる。ただ、ここまで速いと、これまでの日本調教馬なら、例え後方追走だったとしても、先に音を上げて、攻防にも参加できずにズルズルと下がってしまうことが多かった。しかし、マルシュロレーヌは違った。鞍上のマーフィー騎手の手はピクリとも動かず、しっかりと手綱をキープ。そして、3コーナーの入りしな、先行勢の作るペースがガクンと落ちたところで、じJanuary 2022 vol.24014ス回。馬敗で、れデた1ビュ戦ーも以C来C7Aオ戦6ーク勝2スで着1ア          マルシュロレーヌ北米競馬の祭典ブリーダーズカップに名を刻む

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る