ECLIPSE_202201
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omhfrtneone t fr li関西拡大版January 2022 vol.24030マルシュ(左)とメアリー騎乗のラコ(右)「これからどこに行くの?競馬場?馬券を買うの?所持金は?10万ドル!?あなたの仕事は何?」という感じで、ロサンゼルス空港の入国審査で怖そうなお姉さんにどんどん質問されて、泣きそうになる私。所持金10万円と言おうとしたのを、焦ってドルと言って余計に怪しい印象を持たれたのか、どこかに電話をして日本人スタッフまで出てくる始末。そこからまた同じ質問が始まり、何とか無事に通してくれたものの、疲労困憊で手荷物を取りに行ったことを昨日のよOK!」と言ったところ、ラコに乗っているメアリーさんはそれを“曳き手を放しても”OK!と捉え、フリーになった瞬間に物凄い勢いで走り出す場面がありました。なかなか抑えが利かず実は半分諦め気味だったようで、時計も少し速くなっていたのですが、結果的にここでいい負荷がかけられた……ということなのかもしれませんね。レース当日。矢作厩舎はラヴズオンリーユーが先の出走で見事勝利したのですが、そこから一気に空気が変わったような気がしました。でも舞台はダートの本場アメリカ。一体どこまでやれるかという見立てで、決して自信があったというわけではないのですが、この流れなら何が起きても不思議ではないという雰囲気に。ゴールの瞬間は、私が見ていた角度からは正直勝ったかどうか微妙だったのですが、後ろで他の人たちは喜んでいたので、とりあえずその輪に加わりました(笑)。勝ったと分かった瞬間は頭の中が真っ白で何が何だか分からなくなり、せっかくのインタビューでも全く言葉が出ず、まともな受け答えができなかったことは、本当に情けない限りです。帰国後は成田空港からNFしがらきへの移動中に1頭で寂しかったのか、馬運車でずっと前掻きをしていたと聞きました。アメリカではラヴズオンリーユーと一緒で、お互いの存在うに思い出します。空港から車で2時間ほどかけ、スタンドから海が望めるなどリゾート感溢れるデルマー競馬場に到着。その後、検疫厩舎へ行ってマルシュロレーヌを撫でようとしたらそっぽを向かれ、隣の馬房のラヴズオンリーユーには耳を絞って威嚇されましたが、とにかく順調に来ているということを馬を直に見ながら改めて確認し、ホッと胸を撫で下ろすことができました。実際にコースを歩いてダートの感触を岡助手に聞くと「クッションが利いて走りやすい。でも、マルシュはどこで乗っても持って行かれますけどね」。美浦トレセンでも、乗り出し初日から危なかったそうです。ただ、そんなマルシュロレーヌにとって、今回の遠征で非常に大きかったのは『ラコ』というポニーの存在でした。デカくて、想像していたポニーと全然違ったのですが、現地での調整において様々なサポートをしてくれ、BC優勝の影の立役者と言っても過言ではありません。過去に近況でもお伝えしたことがあるので覚えている方も多いと思いますが、マルシュロレーヌは普段から調教の行きっぷりが凄く、乗り手の悲鳴をよく聞いていました。ただ、ラコが引っ張ってくれている間は「キャンターでも非常に乗りやすくて楽です。僕はただ跨っているだけ」と、落ち着いて調教に臨むことができているようでした。レース前日もラコと一緒にダートコースで調整を行っていたのですが、キャンターの途中で岡助手が、“乗りやすい”という意味で「OK!が精神的な支えになっていたのでしょうか。なお、NFしがらき到着直後の様子は「毛むくじゃらですよ。とてもBCを勝った馬には見えません(笑)」と厩舎長。ちなみに、現地の装蹄師(昔シーザリオも装蹄したそうです!)も冬毛が伸びているのを見て、「日本は寒いのか?」と言っていました(笑)。今回、会員の皆様と現地観戦できなかったのは残念ですが、日本からの声援は海を越えてマルシュロレーヌへ届いていたと思いますし、それが最後のあとひと押しに繋がったのでしょう。会員の皆様、この度は本当におめでとうございました!Text: 小谷 和也(キャロットクラブ栗東担当)West

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