ECLIPSE_202508_14-15
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今回のセールで、クラブが落札した1歳馬4頭についても触れておこう。上場番号35番「ジョイネヴァーランドの2024」は米三冠馬アメリカンフェローの牡馬で、母はアルゼンチンの古牝馬チャンピオンという世界レベルの良血馬だ。164番「エンブレマータの2024」はアルアイン産駒の牡馬で、おばに秋華賞馬ブラックエンブレムがいる。170番「デスティノアーラの2024」はエフフォーリア産駒の牝馬で、おばに愛オークス馬カヴァートラブがいる。204番「マリーナドンナの2024」はモーリス産駒の牝馬で、祖母が名牝ジェンティルドンナ、おばジェラルディーナがともにチャンピオン牝馬という良血である。164、170、204番の3頭は、奇しくもここで取り上げたディープインパクトの血を内包している点に注目したい。サンデーサイレンスの初産駒がクラシックに登場してから、今年でちょうど30年。300億円超えの世界的メガセールに成長した第28回セレクトセールは、セール出身馬でもある全兄弟種牡馬2頭の血がセール全体を席巻した。さらに突き詰めれば、2頭を産んだ現34歳の母ウインドインハーヘア(曽祖母に内包するレイデオロ産駒も2日間で5頭全馬落札、うち1頭は3億円)の偉大さ、そして父系祖父サンデーサイレンスの影響力の強さに気づかされたセールでもあった。ことだ。下段の別表をご覧いただければ、その数字面での凄さを実感できるだろう。ディープインパクト系種牡馬は今年12頭で合計95頭が上場し、94頭が落札(落札率99%!)。売却総額はイド系種牡馬はイクイノックスとキタサンブラックのツートップで合計1億円超えはイクイノックスが11頭、キタサンブラックが18頭と2頭合計で29頭。売却総額は79億1100万円と、この父仔2頭でディープインパクトの後継12頭を上回った。上エ上マ7      駒デビューを迎えたコントレイルが両日ともに安定した成績を残し、平均価格は1億円を超えた。セール終了時点では2歳新馬勝ち馬が1頭ながら、父仔2代の三冠馬には秋以降の期待料も込められているのだろう。昨年、日本競馬史上初めて父仔三代のチャンピオンサイアーの座に就いたキズナは、1歳馬から5頭、当歳馬から2頭のミリオンホースが誕生。コントレイル同様に上場全馬が落札という、購買者の信頼度の高さを実証して見せた。却額を合計すると、総額は150億円を超える分、2日間の落札総額の実にの偉業は今さら言うまでもないが、一つ違いの全兄ブラックタイドの馬生は、現役引退後に奇跡のような展開を見せていることに驚く。種牡馬入りしていたディープインパクトから遅れること2年。当初は〝ディープインパクトの全兄〟という触れ込みだったが、3年目の産駒からキタサンブラックが登場。今年のオークスで産駒カムニャックが優勝したことも記憶に新しい。24歳になるブラックタイドは3年前の暮れにシンジケートを解散しているが、サンデーサイレンス直仔で種牡馬登録のある現役最高齢種牡馬として、今年も繋養先のスタリオンブックに名を連ねている。ディープインパクト系では今年初産そして、この両父系14頭の産駒の売ディープインパクトの種牡馬として212124264271228129514921111711(単位:円、税別)売却最高価格平均価格52,000,000320,000,00029,000,00064,000,000280,000,00037,750,00082,962,96329,000,00055,500,000111,392,85732,000,00082,000,00098,000,00045,000,00044,000,00032,000,00054,000,00042,333,33340,200,00044,000,00024,000,00096,000,00018,500,00057,000,000(単位:円、税別)売却最高価格平均価格580,000,000500,000,000155,000,000197,545,455種牡馬名アルアインキズナグレーターロンドングローリーヴェイズコントレイルサトノアラジンサトノダイヤモンドシルバーステートダノンキングリーフィエールマンリアルインパクトリアルスティール 合計種牡馬名イクイノックスキタサンブラック 合計1歳 当歳 売却頭数売却総額151,000,0002,240,000,00029,000,000111,000,0003,119,000,0001811732,000,000108,000,000381,000,000201,000,00044,000,00037,000,000684,000,0004550947,137,000,0001歳 当歳 売却頭数売却総額241323223,565,000,0004,346,000,000113711457,911,000,000Writer profile 15辻 一郎 Ichiro Tsuji©Japan Racing Horse Association1959年、東京都生まれ。明治大学卒。1987年にサラブレッド血統センター入社。『競馬四季報』『競走馬ファミリーテーブル第4巻』『スタリオンレヴュー』などの編集・制作に従事。『週刊競馬ブック』では「一筆啓上」に寄稿。JRA競馬学校非常勤講師。複数のクラブで細々と出資歴40年。初めて持った馬は父ルドゥターブルの牡馬。趣味はボクシングと釣り。46%に達しているのも凄い。48頭が上場し、45頭が落札された。71億3700万円。一方、ブラックタセレクトセール2025 ディープインパクト系種牡馬 売却成績セレクトセール2025 ブラックタイド系種牡馬 売却成績

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