社員は454名。競馬ではJRA全10場と、地方競馬は名古屋、笠松、門別、ばんえい競馬を除いた11競馬場で業務を担当。競馬の仕事は全体の約7割を占める。それ以外ではオートレースとボートレースの仕事もしており、浜松と伊勢崎オートレース場。下関、若松、福岡、芦屋の4競艇場で業務を請け負っている。着順判定写真撮影、レースビデオパトロール映像、ファロンタイム計測、ファンサービス用場内テレビ放送、勝馬写真・ビデオ制作などの業務に関わっている。例えば1月5日の中山金杯当日、中山競馬場にいた社員数は55名。これが有馬記念などの大レースになると、約80名に増えるそうだ。映像の仕事では「機械が壊れて、撮影できていませんでした」などの失敗は決して許されない。そのため山口シネマではバックアップ体制を整え、予備の予備を備えるぐらいの準備を行って、現場に臨んでいる。真、ビデオ撮影の現場を取材した。お話を伺ったのは勝ち馬のスチール撮影を担当する大塚衛さん(写真⑨⑩)。入社して32年のベテランだ。「この仕事をしていて1番大変なのは天候ですね。撮影はすべて屋外で行うので冬は寒いですし、夏は暑さとの闘いです。放馬した馬が突っ込んできて、ヒヤっとした思いは何度も経験しています(苦笑)。この仕事のやりがいですか?馬主さんや調教師、騎手の皆さんなどが自分の撮った写真を見て、喜んでくれた瞬間ですね」勝馬写真・ビデオ制作をする際、心がけていることを第二業務部販売課の遠藤直樹課長に伺った。「大切な記念ですから、目をつぶっていないかなど、良い写真を選ぶようにしています(写真⑪)。今はデジタル化が進んでいますが、人としての感覚が加わらないと血の通ったものにはならないと思うんですね。ですから、そんなアナログの要素も大事にしていきたいと思っています。今後も温かみのあるものを作っていきたいですね」最後に、山口良成社長からメッセージをいただきました。「キャロットクラブ会員の皆様には今後もご満足いただける写真やビデオをお届けできたらと思っていますので、要望があれば伝えていただきたいですね。弊社は今年、創立100周年を迎えます。JRAをはじめ多くの皆様にお世話になり、改めて感謝を申し上げます。今後はこれまで築いてきた技術や心構えを大切にしながら、AIを活用したり、DX化を進めるなど、時代に合わせた技術革新も進めていきたいと考えています。そして次の100年に向けて、私どもの使命でもあります公正な競馬を運営する手助けをしていくために、社員一同努力していきます。ご支援をよろしくお願いいたします」開催競馬場では山口シネマの社員が着順を決める写真判定やパトロール1月11日、中山競馬場で勝ち馬の写私自身、競馬の仕事を始めて約30年経つので山口シネマの存在は知っていたが今回改めてお話を伺い、その歴史と競馬との関わりの深さに驚いた。競馬黎明期から現在に至るまで、度重なる難題を柔軟な発想とチャレンジ精神で乗り越えてきた山口シネマ。日本の競馬がここまで成熟したエンターテインメントとして定着した背景に、多大なる貢献をしてきたことは明白だ。これから山口シネマの技術によって、また新たな競馬シーンが見られるようになるのだろうか。競馬ファンとして楽しみでならない。※掲載写真・資料提供:山口シネマ(小島友実) 11写真⑩口取り撮影中。目線がカメラマンに向くように、積極的に声をかける写真⑪会員の皆様に馴染み深い、愛馬の記念ビデオ&フォト業務も手掛ける写真⑨スタンド2階からダートレースの勝ち馬を撮影する大塚衛さん
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