てもらって、実績を積み上げているところです」と、関山次長は話していた。かけがえのない一瞬をとらえる山口シネマは中山や東京競馬場などで優勝馬の写真を撮影し、オーナーや調教師など関係者に販売する優勝馬写真撮影業務も手がけているが、今からいたという。山口良成社長に伺った。「父の山口𠮷久は慶応大学馬術部出身で、馬が好きでした。そんなこともあり、この仕事も請け負うようになったようです。当初は東京や中山競馬場で撮影し、関係者に注文を取るまですべて1人で行っていました」その後、福島競馬場や新潟競馬場でも優勝馬写真業務を開始。やがて写真に加え、映像へと業務を拡大。1971年からは東京、中山、福島、新潟競馬場で8ミリフィルムによる優勝馬撮影業務を開始。1975年からは札幌、函館競馬場でも行うようになった。その後、8ミリフィルムからビデオに変わり、現在はDVD映像も手掛けている。なお、馬が好きだった山口𠮷久氏は中央競馬や地方競馬で馬主になった時代があった。𠮷久氏は生前、山口シネマのことを「競馬屋」と表現していたという。競馬を想う気持ちは今の社員にも受け継がれ、多くの社員は競馬が好きで山口シネマに入社している。まさに縁の下の力持ち2024年1月現在、山口シネマの務部の関山正義次長はこう話す。「大障害コースは起伏があるので、谷の部分など、どうしても現在のカメラワークだと見られない箇所があります。そこで、ドローンを使って新しい視点で映像を撮れないか。我々は挑戦してみたかったのです」「お客様がいる競馬場でドローンを飛ばすことに慎重意見があるなど、クリアすべき問題が多くありました。まずは国交省管轄の東京航空局に許可を得たのですが、速度25キロ以上出してはだめなど様々な制限がでました。また、撮影にあたっては万が一、ドローンが落ちても必ず回収できるようにドローンにワイヤーをつけること、またお客様から40m以上離れた場所でドローンを飛ばすなど、安全飛行に努めました。飛行範囲は20mから70mで、谷の部分は20m上空から撮影しています。もちろん中山大障害に乗る騎手には事前に話をしており、金曜日の本馬場調教の際に実際にドローンを飛ばしてテストを実施。その際、ジョッキーたちは『どこにドローンがいたのかわからなかった』という反応でした。当日も人馬はレースに集中しており、音の影響はないようでした」クスの輪乗りを撮影する予定にはなっているが、レース映像に再度、挑戦するかはまだ決まっていないとのこと。「今は競馬学校に協力していただき、模擬レースの時にドローン撮影をさせただし、課題は山積みだった。今後は今年のスプリンターズステーMarch 2025 vol.27810写真⑥開催日は常に大型中継車が2台あり、ファンサービス用場内映像とパトロール映像業務を担う写真⑧昨年の中山大障害ではドローンが撮影した映像が盛り込まれ、話題となった写真⑤1996年、写真判定がカラー化写真⑦車載カメラを開発したのも山口シネマだ 70年以上も前の1948年からやって競馬や公営競技運営を陰で支える山口シネマ─創立100年を迎える、映像のプロフェッショナル集団─
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