ECLIPSE_202409_13-21
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なおかつ、非常に印象的だったのが、初めて10Fに挑んだG1愛チャンピオンS(芝10F)で見せたレースぶりだった。道中2番手追走から残り250mで先頭に立つと、最後までファイトし続け、この年の欧州年度代表馬セントマークスバシリカから3/4馬身+ハナ差の3着に健闘。一介のマイラーではなかったことを印象付けている。サドラーズウェルズの5×5×5を保有するパドゥヴァルスの23も、距離に対する融通性を十分に持っていることが想定される。授精能力に瑕疵があった父の産駒は、残念ながら数が非常に少なく、パドゥヴァルスの23は希少価値の高い若駒である。母が日本産馬ながら、当該馬はアイルランド産馬というレディオブパーシャの23は、ボーダーレスな時代を象徴するような血統背景を持つ。香港を拠点に走り、G1香港スプリント(芝1200m)を制した他、シンガポールのG1クリスフライヤーインターナショナルスプリント(芝1200m)連覇を果たしたラッキーナインの半妹にあたる母は、西浦勝一厩舎に所属して2勝をあげた後、日本で繁殖入り。G3新潟2歳S(芝1600m)勝ち馬ウーマンズハートらを出した後に欧州に渡り、23年に産んだのがレディオブパーシャの23である。昨年暮れのタタソールズ・ディセンバーセール当歳セッションに上場されたところ、チーム・ノーザンファームに見いだされて日本にやってきた。駒が6歳となった15年に英愛サイアーランキングで4位となって以来、23年まで9年連続でトップ10入り。そして、G1クイーンアンS(芝8F)勝ち馬チャリン、G1クイーンエリザベス2世ジュビリーS(芝6F)勝ち馬カーデムらを送り出している今年、7月31日の時点でランキング首位に立っているという、バリバリのトップサイアー父のダークエンジェルは、初年度産である。日本でも、産駒のマッドクールが今年3月にG1高松宮記念(芝1200m)に優勝。さらに、ダークエンジェルの父アクラメーションは、今年6月にG1安田記念(芝1600m)を制したロマンチックウォリアーを送り出しており、日本の競馬への適性も実証済みのサイアーラインと言えよう。ダークエンジェルもアクラメーションも、欧州における産駒が活躍の主戦場としているのは、概ね短距離路線だが、日本の馬場ならばマイルまで視野に入るはずだ。オリエンタルステップの23も、生産国はアイルランドだ。5代母がハイクレアだから、ディープインパクトなど数多の名馬が出ている名門血脈を背景にもつ。こちらは、昨年11月のゴフス・ノヴェンバーセール当歳セッションで発掘されて、日本へやってきた。父は、3馬身差で快勝したG1インターナショナルS(芝10F56y)を含めて3つのG1を制した20年に、欧州年度代表馬に選出されたガイヤースだ。同馬はその年、レーティング130を獲得。2位以下の馬たちに4ポンドという決定的な差をつけ、ワールドランキングの首位に立っている。本馬は、その2世代目の産駒の1頭となる。G1制覇を果たしたのは4歳時と5歳時だった父だが、2歳秋にG3オータムS(芝8F)をレースレコードで制しており、決して遅咲きだったわけではないことを強調しておきたい。また、同馬が制した4つのG1のうち、G1コロネーションC(芝12F6y)とG1エクリプスS(芝9F209y)は、馬場がGoodtoFirmという、欧州のスタンダードからすると硬めでクイックな状態で、日本の馬場への適性もある種牡馬と見ている。産駒は父に似て、骨量豊かで雄大な馬格を誇る馬が多く、23年の欧州1歳馬市場に登場した初年度産駒の評判も上々だった。本馬のよく発達した後躯は、まさしく父譲りのものだろう。筆者が今年、血統解説を担当させていただく7頭の募集馬の中で、最も「旬」な血脈を持つのが、トゥープレシャスの23だろう。本馬は、7月12日にニューマーケットで行われたG1ファルマスS(芝8F)を3・3/4馬身差で快勝し、3度目のG1制覇を果たしたポータフォーチュナ(牝3、父カラヴァッジョ)の半妹なのである。現役牝馬最強マイラーの妹に出資できる機会など、滅多にないことは言うまでもない。父は、3歳だった19年にG1仏ダービー(芝2100m)、4歳だった20年にG1凱旋門賞(芝2400m)とG1ガネー賞(芝2100m)を制した、ソットサスだ。本馬は、その2世─ 本募集で産駒がラインアップ─ダークエンジェル海外供用種牡馬ガイヤースソットサスSeptember 2024 vol.27218             ©Yeomanstown Studダークエンジェル Review of Stallions─CARROT CLUB YEARLINGS 2024─

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