ECLIPSE_202409_13-21
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ち7勝を芝1600mで、1勝を芝1400mでマークした。5着以内に入れなかったのは、わずか1回(4歳時の香港マイル、7着)のみと、堅実な戦績を残した馬でもあった。G1初挑戦での初制覇となった4歳時の安田記念は、アエロリットをクビ差の2着に、アーモンドアイをさらにハナ差の3着に抑えてのもの。好位の直後から直線で弾けるように伸びて、勝ち時計は現在もレースレコードとして残る1分30秒9と、アピール度の高い勝利だった。もうひとつの勲章である同年のマイルチャンピオンシップも印象的なレースで、好位馬群の中で脚を溜めに溜めて直線で一気に抜け出し、2着ダノンプレミアムに1馬身半差の完勝。ラストの瞬発力には目を見張るものがあった。父ステイゴールドの産駒は持久力に優れた馬が多く、マイラーのインディチャンプは異質なタイプだが、機敏でダイナミックな身のこなしは父を彷彿とさせた。また、父は競走生活の晩年においても馬体重が430キロほどと、小柄な馬体でも知られたが、インディチャンプは現役最終戦の香港マイルが482キロ(1064ポンドをキログラム換算)と、馬格は十分。おそらく筋力では父を上回る。種牡馬としても、瞬発力には父以上の期待をしていい。インディチャンプについては、母系が非常にスピードに優れ、なおかつ活躍馬を連発している点も見逃せない。1400mで2勝、芝とダートの1200mで各1勝の計4勝。産駒からはインディチャンプの他にも、シルクロードS勝ち馬アウィルアウェイ(父ジャスタウェイ)を送っている。米国産馬の祖母トキオリアリティーは日本900万下の鈴鹿特別を含む2勝、ダート1400mで1勝の計3勝。繁殖成績が優秀で、産駒からリアルインパクト(安田記念、ATCジョージライダーS)、ネオリアリズム(香港クイーンエリザベス二世C)のG1ウイナー2頭だけでなく、オーシャンS勝ち馬アイルラヴァゲインも出している。在、1歳を迎えており、プラチナブロンドの23はその中の1頭。母プラチナブロンドは日本ダービー馬ジャングルポケットの産駒だが、現役時の3勝は全て芝1200mという短距離馬だった。若駒の頃に前進気勢が強めだったタイプで、その点はインディチャンプとも重なる。両親の前向きさが、プラチナブロンドの23の中で闘志に昇華すれば、直線で父のように弾けてきそうだ。芝1200mの準オープン・佐世保Sなど4勝を挙げたモンローブロンドで、曽祖母は英国産の輸入繁殖牝馬ソ1000ギニーなど欧州のマイルG1母ウィルパワーは現役時に芝で競走生活を送り、芝1200mでインディチャンプの初年度産駒は現プラチナブロンドの23の祖母は小倉ニンク(不出走馬)、四代母は愛を3勝した全欧3歳牝馬チャンピオン・ソニックレイディ。一級品のスピードを伝える特上のボトムラインで、日本ダービー馬ロジユニヴァース、秋華賞と英G1ナッソーSを制したディアドラ、安田記念連覇を含めて芝のマイルG1を3勝したソングラインも、このファミリーの出身だ。父系も母系も速さに優れるプラチナブロンドの23には、芝の短距離で期待したい。モズアスコットは2014年3月31日、米国のサマーウインドファームで生産された。父は英国で14戦不敗の〝怪物〟フランケル、母はヘネシーの産駒で、米国でG2コティリオンBCHとG3アゼリBCS(両レースともダート8・5F)を制したインディア。モズアスコットはフランケルの初年度産駒でもある。現役時は栗東の矢作芳人厩舎に所属し、3歳時から6歳時まで通算26戦7勝。4歳時の18年に安田記念を、6歳時の20年にフェブラリーSを制し、史上5頭目の〝芝とダートの両方でJRA・G1制覇〟を達成した。安田記念は連闘での勝利。中団から勢いよく伸びて、勝ち時計1分31秒3は当時のコースレコードと並ぶ快時計だった。当初は出走馬決定順で19番目だったが、他馬の回避で出走が可能に。好機を見事にものにできたのは、確かな実力があったからだ。6歳2月には、初ダートの根岸Sを鋭く差し切り勝ち。続くフェブラリーSも後続に2馬身半差の完勝と、秘められていたダート適性を一気に開花させた。全7勝の内訳は、1600mを芝で3勝、ダートで1勝、1400mを芝で2勝、ダートで1勝。マイル以下の距離を得意とし、芝でもダートでも高いスピード能力を発揮した。父フランケルは21年と昨年の2度、英愛チャンピオンサイアーに輝いていて、仏国でも一昨年にチャンピオンサイアーとなった。産駒はモズアスコットの他にも、ソウルスターリング(オークス、阪神ジュベナイルフィリーズ)、グレナディアガーズ(朝日杯フューチュリティS)が日本でG1を制覇。日本競馬への適性が十分に感じられる。フランケルは現役時にG1を10勝、そのうちマイルで7勝。モズアスコットの速さは、この父あってものだ。母系の質も高い。母は前述の通り米国の重賞2勝馬で、祖母ミスティアワーは米G2ファンタジーS2着馬。いとこにはトゥオナーアンドサーヴ(ウッドワードS、シガーマイルH)、アンジェラレネ(シャンデリアS)と、米国のG1馬が2頭いる。四代母ジャワムーンは米G3カムリーS勝ち馬で、五代母は名繁殖牝馬ゴールデントレイル。米国のG1・2勝馬で、日本で種牡馬として大きな成功を収めたブライアンズタイムは、ゴールデントレイルの孫─本年産駒がクラブで初募集─モズアスコット/アロースタッドSeptember 2024 vol.27216         Review of Stallions─CARROT CLUB YEARLINGS 2024─

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