ECLIPSE_202402_01
7/11

今や『ウマ娘 プリティーダービー』のタイトルは、一般的にかなり浸透しているのではないでしょうか。アニメが先行して放送されていましたが、スマートフォンゲームがリリースされると社会現象を巻き起こす人気ぶり。ウマ娘をきっかけに競馬を知らなかった人たちが興味を抱き、それが引退馬支援の広がりにもつながるなど、競馬界にも好影響をもたらしています。ウマ娘が爆発的人気を誇るのは、ゲームとしての完成度の高さでしょう。私がゲームを始めたきっかけは、ネットニュースで某有名プロ野球選手がウマ娘に熱中していると知ったからで、それなら私も試しに…とプレイしてみたところ、どっぷりハマってしまいました。まず、レースシーンの鮮やかさ。レースコースを3Dモデルで再現。ウマ娘が東京競馬場の直線の坂を上がってくるシーンは、実際の競馬を想起させる迫力です。疾走感はもちろん、道中でライバルをうかがう視線の動きや、汗をぬぐう仕草、フルボイスの実況も臨場感をアップさせる。ゲームなのに、ウマ娘の息遣いまで聞こえてくるのではないかと思うほどリアルな仕上がりなのです。底して描かれているのも、競馬ファンのそれぞれが別世界で名勝負や偉大な記録を生んだ名馬の名前と魂を受け継いでいます。ンススズカを例に出せば、栗毛の髪、主に緑と黄でデザインされた勝負服、右の耳カバーもスズカが現役時代に装着していたメンコで、右の耳飾りもトレードマークともいえるワタリ編みのポンポ性格や個性、癖を観察すればするほど、モチーフになった名馬を感じられるのがウマ娘の魅力です。         難易度は高くなりますが、獲得する適育てる育成モードでは、史実通りの個性やスキルを調整して、タイキシャトルのようなマイラーを有馬記念で勝たせることもできます。プレーヤーごとにオンリーワンのウマ娘を育成できるのキャラクターデザインが細部まで徹心をくすぐります。ウマ娘とは「尻尾と耳と超人的な走力を持つ存在」で、私が現役時代に大好きだったサイレ後肢の白斑を表した右足の白い靴。緑ンが描かれています。それ以外にも、自分がトレーナーとなってウマ娘を性や強さを追求することもできれば、「If(イフ)の世界」として楽しませも、面白さのひとつですね。他にもストーリーモードで、ウマ娘ごとにトレーナー(自分)との出会いと絆の物語が用意されているのが、嬉しいところ。特別に描かれたメインストーリーは1章ごとがまるで1クールのアニメ、ドラマ作品のような胸アツの内容。サイレンススズカを中心に進む章では、悲運に見舞われた名馬がどう描かれるのか。テレビで放送されたアニメともまた違うゲームの結末も、ウマ娘ならではのてくれます。最後に、ウマ娘には「ウイニングライブ」という、レースに勝ったウマ娘によるライブパフォーマンスがあります。競馬でいうウイニングランですが、これがまたすごい。3Dグラフィック演出により、自分が育てたウマ娘がまるでアイドルグループのセンターを務めるかのように、歌って踊る。勝つレースごとに楽曲も違い、どこを切り取っても飽きさせないのが、ウマ娘の人気の理由でしょう。さて、新参者の私がいきなりウマ娘の魅力を伝えることになったのも、キャロットクラブの至宝『シーザリオ』が、ついにウマ娘として登場するから。日米オークスを制した名牝に、どんなストーリーが用意されているのか。キャラクターデザインにどんな秘密が隠されているのか。会員の皆さんなら、誰よりもウマ娘を楽しめそうな気がします。February 2024 vol.26514Columnist profile 板津 雄志 Takeshi Itazu1979年岐阜県生まれ。サイレンススズカの快速ぶりに惚れて競馬にのめり込み、気が付いたらサンケイスポーツ競馬記者になっていた。現在はフジテレビ「みんなのKEIBA」、「BSイレブン競馬中継」に出演。知らないところで美浦トレセンウマ娘部の会長に祭り上げられたが、そのおかげでウマ娘関連の仕事が増えた。ウマ娘プリティーダービーのレースシーン。最後の直線を先頭で迎えるサイレンススズカ競馬は浪漫

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る