ECLIPSE_202201
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ンピオンを決める」世紀のイベントは米国人の気質にもマッチして、競馬は〝キングオブスポーツ〟としての輝きを取り戻しました。名牝がズラリと並んだ1回目のディスタフ(₈₄年から₈₇年までは2000mで開催、₀₈年と₀₉年はオールウェザー馬場、₀₈年から₁₂年までは〝レディーズクラシック〟として施行)は、本命のプリンセスルーニーが7馬身差で大勝。この年のエクリプス賞の最優秀古牝馬に選ばれ、2着して最優秀3歳牝馬に輝いたライフズマジックは、翌年のディスタフで雪辱を果たして最優秀古牝馬に輝きました。歴代の優勝馬にはそれぞれのドラマがありますが、その中でも筆者の記憶に強く残っているのはパーソナルエンスン(₈₈年)、アゼリ(₀₂年)、ゼニヤッタ(₀₈年)、ビホルダー(₁₃年と₁₆年)、それにモノモイガール(₁₈年と₂₀年)の5頭です。デビューから無傷の₁₃連勝で花道を飾ったパーソナルエンスンは、不良馬場で泥に塗れながら残り200mを追い上げて、ケンタッキーダービー馬ウイニングカラーズをハナ差交わして優勝。そのドラマティックな幕切れは、その年の年間最高レースにもなりました。今年の夏に閉場されたシカゴのアーリントンパーク競馬場を舞台に、後続に5馬身差をつけて逃げ切ったアゼリはその年、牝馬限定戦のみ8勝(9戦)を挙げて年度代表馬にもなりました。ザートラックに改装された₀₈年、〝レディーズクラシック〟に登場したゼニヤッタは最後方を追走し、3コーナーからエンジンに火をつけて先行馬をなぎ倒すようにして9連勝を達成。ファンの喝采を浴びました。ゼニヤッタは、その後も不敗街道をばく進。引退レースとなった₁₀年のBCクラシックは、大きく出遅れてブレイムにクビ差2着という悲劇での幕切れとなったものの、₂₀戦₁₉勝、G1・₁₃勝という大記録とともに、今も空前の牝馬としてファンに語り継がれています。2歳牝馬、同3歳牝馬、同古牝馬2回)したビホルダーは、消長の激しい牝馬には珍しく、高いレベルで息長く活躍した名牝でした。〝ディスタフ〟は3歳時と6歳時に制していますが、「歴史的な名馬による一騎討ち」として今も語り継がれる後者では、₁₁連勝中の3歳馬ソングバードをゴール前でハナ差ねじ伏せて優勝。₁₁度目のG1制覇を達成して、引退の花道を飾りました。ガールの強さは、その飛び抜けたスピードにありました。通算₁₈戦₁₅勝。3度の2着もクビ差、1位入線から降着、ハナ差というもの。来春は、チャンピオンサイアーのイントゥミスチーフとの交配が決まっています。はまだ引退して間もないモノモイガールを除く4頭が、重賞競走のレース名(パーソナルエンスンH、アゼリBCハンデ、ビホルダーS、ゼニヤッタS)米国の競馬場の多くがオールウェエクリプス賞を4度も受賞(最優秀今年の春まで現役を続けたモノモイ余談になりますが、これらの勝ち馬となっています。今年のマルシュロレーヌまで勝ち馬は、のべ₃₄頭(バヤコア、ロイヤルデルタが連覇、ビホルダーとモノモイガールが2勝)。その中にはレース翌々日に始まるケンタッキーのセリに上場された馬も少なくなく、最近ではロイヤル6億6300万円)、モノモイガールは950万ドル(約₁₀億4500万円)という高額でトレードされました。現役引退後にノーザンファームに売却されたジンジャーパンチ(₀₇年優勝)がのちに日本でルージュバックの母となったことは、クラブの会員ならずとも競馬ファンの良く知るところでしょう。日本では海外競馬の最高峰として「パリの凱旋門賞」が挙げられることが少なくありません。しかし、筆者は今回の勝利を凱旋門賞優勝と同じか、それ以上に価値あることと捉えています。今年のブリーダーズカップ開催では、米国で許容されている利尿剤〈ラシックス〉の当日使用が禁じられました。もしかしたら、これが微妙に作用したのかもしれませんが、最も強い馬のスピードについてこられない馬が振り落とされるサバイバル戦、それも最高レベルの一戦を日本調教馬が制したことは、歴史的快挙というほかありません。マルシュロレーヌがこじ開けた突破口は一筋の光明。あとから続く馬たちに、なによりの自信と勇気を与えます。ル(が850万(TIS代表 奥野庸介)17         デルタド約   

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